NBCのオリンピック放送

NBC SportのCEOは今回のオリンピック放送を「伝統と革新のミックス」と形容した。伝統とは、開幕式、重要な試合、閉幕式は、ライブ中継ではなく、プライムタイムに放送するやり方が象徴するこれでのテレビ中継で、革新とはインターネットを使った試合の配信、ソーシャルメディアの利用等である。視聴率を重視し、NBCはこれまで、ライブより、プライムタイムの放送に力を入れる方法を取ってきた。同系列の多チャンネルネットワーク(NBC Sports、MSNBC、CNBC、Bravo)を使うことで、試合をライブで放送をしてきたが、開幕式、閉幕式、それに一部の重要な試合は地上波のNBCだけがプライムタイムで放送した。

この伝統的な放送と共に、NBCUniversalは、オリンピックのほぼ全試合をインターネットで配信するという革新的な試みをした。ほとんどはライブ中継であるが、テレビで放送される試合は、テレビでの中継まで配信されなかった。また、インターネットでの配信は、TV Everywhereのコンセプトで、多チャンネルサービスへの加入者だけが視聴できた。

アナリスト、それにメディアは、NBCの「伝統と革新のミックス」に対して悲観的であった。多くは、インターネットで試合の結果を瞬時に知ることが出来る現在、プライムタイムに放送すると言う考えは陳腐化しており、視聴率は北京オリンピックを下回ると予測した。多チャンネル、それにインターネットでライブ中継をする事は、NBCのプライムタイムの価値を減らし、それが無くても情報はインターネットにあり、プライムタイムにオリンピックを見る人は大きく減ると考えられた。

この予想は大きくと外れた。17日間のNBCのオリンピック放送の視聴者数は2.19億人で、北京オリンピックの2.15億人を2%上回った。平均視聴者数は3110万人で、アメリカ以外で開催されたオリンピック以外では最高で、北京を12%上回った。多チャンネルネットワークでの中継は平均で716,000人の視聴者があった。NBCUは、オリンピック放送は2億ドルの赤字になると最初は発表していたが、多チャンネルネットワーク含め、広告が途中から売れ、損益は無くなるとの楽観的な表現に変わった。

インターネットでオリンピックのビデオを見たユニークユーザ数は5710万人で、1.593億本のビデオが配信され、その内6440万本がライブ配信であった。ライブ配信を視聴可能にするために、990万台のデバイスが認証された。ライブ配信の内、63%はウェブでの視聴で、残りはスマートフォン、タブレットのアプリでの視聴であった。ライブ配信の一人あたりの平均視聴時間はウェブでは、111.4分、アプリでは94.3分であった。
ロンドンオリンピックは、またこれまで最高のソーシャルなイベントでもあった、オリンピック全体に対するソーシャルコメントは8260万で、内、NBCの放送に係るものは3270万であった。Twitterに限定すると、最も多くのツイートがあった選手はウサイン・ボルトで、200メートルのファイナルは80,000+のTPM(Tweet Per Minutes)、100メートルでは74,000+TPMを記録した。しかし、最もツイートが多かったのは閉幕式のSpice Girlsの演奏で、116,000+TPMであった。

オリンピック開始前は、ライブの放送(配信)、それにツイート等のSNSにより、プライムタイムの放送を見る必要が無くなり、視聴率は落ちるとの予測であった。しかし、実際は、ライブで放送(配信)されるとソーシャルコメントが増え、その日のプライムタイムの視聴率も増えてた。ウサイン・ボルトに関するツイート数は200メートルで優勝した時点と、NBCがプライムタイムで再放送した時点でほぼ同じで、1日に2回のピークを見せた。すでに結果は知っていても、話題になった試合はプライムタイムに見、そして、ライブと同じような反応を与えたことになる。