NBA: RSNは「壊れたモデル」

プロバスケットボール・リーグのNBAコミッショナーのアダム・シルバー氏はNAB理事会のプレス・コンファレンスで、今後の放送/配信予定に関する話題のなかで、RSN(地域スポーツ・ネットワーク)を「壊れたモデル」と表現した。テレビの視聴は放送からストリーミングに移っている。NBAは2025-26年のシーズンからAmazon Prime VideoとPeacockを加えることで、ストリーミングへの移行に対応する。同氏によるとNBAが現在の放送権を契約した2014年から比べると、ケーブルTVによるRSNの再送信は50%も減っており、NBAはこの問題を解決する必要がある。

RSNは主要ネットワークでの全米放送、あるいは地域局でも放送されない試合をケーブルTVで地域のファンに見せるためにスタートした。MLB、NBA等ではリーグが放送しない試合は各チームが放送権利を持つ。チームは自らRSNを作るか、あるいは地元のケーブル局との協力でRSNを作り、これら試合を放送し始めた。最初はファン・サービスが目的で再送信料は僅かであったが、試合がテレビで見られることで、球場に行く人が減り、RSNは再送信料を増し始める。さらに、コードカッティングにより加入者が減り、収入維持のために大きな値上げが起きる。RSNの再送信料は加入者あたり、月$3から$8程度になり、2012年と比べると3倍になっている。

RSNは基本パッケージのチャンネルなので、その値上げは全加入者の料金に影響する。RSNの視聴者はハードコアなファンだけであり、値上げを避けるためにRSNを切る多チャンネルサービスが増えている。これにより、RSNでの試合放送は大きく減っている。チームがRSNと契約してもそれを再送信する多チャンネルサービスが少ないのでは、収入にもならないし、ファンのサービスにもならない。

RSNのBally Sportsが倒産からの再建をするためには十分な規模の多チャンネルサービス事業者と契約すること、それにチームと契約することが必要である。Bally Sportsとの契約を拒んでいた、Comcastと契約出来たことで前者はクリア出来た。しかし、一部のチームはBally Sportsと契約しなかったので、アリゾナ、サンディエゴ等のBally Sportsは無くなっている。RSNと契約をしなかったチームはRSNの代わりに地域のローカル局と契約している。しかし、広告だけでこれまでの再送信料から得られたと同じ収入を得ることは出来なく、また、ストリーミングへの移行にもならないので、長期的な解決策ではない。

NFL、あるいはプロサッカー・リーグのMLSのようにリーグが全国放送のない試合をストリーミング・サービスとして売るのが1つの解決法である。しかし、チームがそれらの試合の権利を持っているMLB、NBA、NHLではチームの合意無しではNFL Sunday Ticketのようなサービスは出来ない。ニューヨーク、ロサンゼルス等の大都市のチームは自らストリーミング・サービスを持つことは出来るが、小さな地域のチームには無理である。RSNは「壊れたモデル」であるが、それの代わるモデルが無いことがNBAだけでなく、MLBとNHLの問題である。