DirecTVとDishが合併

DirecTVが競合の衛星放送事業者のDish Networkを買収する予定を発表した。2社の合併話は何度も出ており、EchoStar会長のチャーリー・エルゲンは2社が一緒になるのは「避けられない」と言い続けてきた。2002年に2社が合併をしようとした際は独占禁止法を理由に阻止された。しかし、コードカッティングにより状況は大きくと変わっている。

DirecTVは2021年にAT&Tからスピンオフされ、AT&Tが70%、プライベート・エクイティ会社のTPGが30%を持つプライベート会社になっている。TPGは最初にAT&Tの持ち株を$76億で買う。これにより、AT&Tは完全に多チャンネルサービス事業から手を引くことになる。AT&Tは2015年のDirectTVの買収に670億を使っている。DirecTVをスピンオフした時の価値は$160億に落ち、今回は$110億に下がっている。AT&Tの持ち株購入はDish買収に関係なく行われる。

DirectTVはその後、Dish Networkの多チャンネルサービス事業(衛星放送のDishとvMVPDのSling TV)をEchoStarから$1で買い、合併する。買収額はたったの1ドルだが、Dishの負債を含めると、総額は$97.5億になる。EchoStarはDish Networkの親会社で、Dishは2008年に一度スピンオフされたが、2023年に合併している。

Dishを買収することで、DirecTVは生き延びる期間を長引かせることが出来き、年間$10億以上のコスト削減が可能になる。人件費等を減らすことは出来るが、2つの衛星放送事業の統合は困難である。2社のコンディショナル・アクセス技術は異なるので、STBを1つに統合するためには新しいSTB開発が必要となり、コストがかかる。成長している市場であれば、その投資価値はあるが、今の状況ではメリットはない。衛星放送への投資は行わずに、vMVPDに移行を続けるであろう。DishにはSling TVがあり、DirecTVにはDirecTV Streamを持っている。

EchoStarはたったの$1でDish Networkを売ることになるが、債務を減らすこと出来、倒産の可能性から逃れることが出来る。Dishの債務が無くなるだけでなく、TPGはEchoStarの11月期限の$20億の保証証券をリファイナンスする。これにより、噂されていた年内の倒産はなくなる。EchoStarはDishを手放すことで債務を減らし、モバイル通信事業に専念をすることが出来る。

課題は司法省等からの許可を得ることが出来るかである。DirectTVとDish Networkの合併により加入者数は1900万になり、1330万人のCharter、1320万人のComcastを抜き、最大の多チャンネルサービス事業者になる。しかし、DirecTVは2021年から600万近い加入者を失っており、1100万加入者以下になっている。Dishの加入者は1070万から800万に落ちている。合併により規模としてはトップになるが、衰退している市場であり、合併許可は下りる可能がある。DirecTVは2025年Q4に買収を完了する予定である。