HBO MaxがQuibiに続くSVODサービスの大きな失敗になるとの意見が出ていた。HBO Maxの登録者数はQ3で860万人、12月には1260万人に達したことが発表された。これがすべて新規登録であれば、順調と言える。しかし、3000万世帯いる有料チャンネルのHBO加入者は無料でMaxに登録出来、それに500万以上と推定されていた、以前のSVODサービスのHBO Now加入者もMaxに乗り換えが可能である。さらにAT&Tの多チャンネルサービス、それに一部のモバイルサービスの加入者も無料で加入することが出来ることを考慮すると登録数が1260万人は低い。
HBO Maxの料金が月額$15と高価であることが原因しているとの意見もある。しかし、Netflixも値上げで$14になっている。また、HBOチャンネルとAT&Tの多チャンネルサービス加入者は無料で登録可能であり、彼らにはHBO Maxの料金は無関係である。複数のSVODサービスに加入する人が増えており、価格が大きな問題とは言えない。
HBO Maxの登録者数が低い理由は3つある。1つはFire TVとRokuでHBO Nowを使っている人は、別のストリーミング・プレーヤを使わないとHBO Maxを利用出来なかった事である。AT&T/WarnerMediaはこの2つのストリーミング・プレーヤと契約が出来ずにいた。AmazonはHBO NowをAmazon Channelsで提供してきた。加入者数は発表されていないが、HBO Nowの加入者の半分近くはAmazon Channels経由と推定されていた。そして、Rokuは4600万の利用者を持つアメリカ最大のストリーミング・プレーヤである。HBO Now加入者の60%から80%程度はFire TVかRokuの利用者であり、彼らはストリーミング・プレーヤを取り替えないとHBO Maxには移行出来なかったことになる。この問題は、AT&T/WarnerMediaは11月にAmazonと契約し、12月にはRokuとも契約したことで解決された。
2つ目は、多チャンネルサービスでHBOチャンネルに加入している人たちに、HBO Maxへの登録をさせる事が出来ていないためである。多チャンネルサービス加入者の多くは多チャンネルサービスに満足しいる。オンデマンドがあっても、これまでのように好きな番組はDVRしている。オンデマンドの必要性を感じていない人には、HBO Maxの魅力は分からない。HBOチャンネル加入者の内、キャッチアップ・サービスのHBO Goを利用していた人たちはHBO Maxに登録したであろうが、HBO Goを使っていなかった人は、HBO Maxになってコンテンツが増えても、登録していない。
3つ目の理由は新規加入者に対しての売り込みである。「Game of Thrones」等のHBO番組のファンであれば、すでにHBOチャンネル、あるいはHBO Nowに加入している。HBOファンでない人達に取り、Netflixよりも$1高くても加入するほどの魅力がなかった。HBOのブランド力が高いとは言え、Disneyのレベルではない。2つ目と3つ目の問題に対するAT&T/WarnerMediaの答えは、2021年の新作映画すべてを映画館での公開と当時にHBO Maxでもし配信する事である。多チャンネルサービスのHBOで満足している人でも、新作映画が見られることは大きな魅了になるし、新規加入者にはNetflixとの違いが明確になる。
4QのHBO Max登録者数は大きくと増えるであろう。AT&Tの発表では「Wonder Woman 1984」が公開になった12月25日にHBO Max加入者の半分が「Wonder Woman 1984」を見た。また、Apptopiaによると、24日から25日の間に55.4万人がHBO Maxのアプリをダウンロードしている。しかし、これで第2のQuibiになることが避けられた訳ではない。Disneyが第2のストリーミングサービス事業者となり、NBCUniversalのPeacock、ViacomCBSのParamount+も登場しており、競争は厳しく、1つの成功で危機から脱した訳ではない。
