CESでの話題

正確な数字はまだ発表されていないが、2013年CESの参加者数は150,000以上となっており、2012年の156,000人と同等である。Microsoftがいなくなり、北館では自動車メーカーが目立って増えたが、主役はテレビであることは変わっていない。Microsoftも消え、コンピュータ系が目立たなくなった事で、テレビの地位は高まっている。展示フロアにおける話題は、よりインテリジェントになっているスマートTV、それにウルトラHD(4K)であった。

しかし、CESにおける人々の会話上の話題は、ソーシャルTVを含めたセカンドスクリーンの利用であった。ウルトラHDは目立つ製品であるが、今すぐに大きな市場になるものではない。NPD Display Searchは、2013年のウルトラHDテレビセットの出荷台数は50万台と予測しており、今すぐのインパクトは無い。

テレビネットワーク、それにコンテンツ事業者側の大きな課題は、いかに視聴者のコンテンツ発見を容易にさせるかである。多チャンネルサービスは、200チャンネルを超え、さらにVOD、それにインターネットでのストリーミングも加わっている。コンテンツの種類が増えることで、ビデオの消費は増えている。しかし、いくらコンテンツが増えても、それを発見する事が出来なければ、利用は促進されない。だが、リモコンを使ったナビゲーションは、60チャンネルの時代ですでに不適切になっている。リモコン操作では、単純な検索も大きな手間になってしまう。

スマートTVはそのソリューションの1つである。最新のスマートTVにはレコメンデーション機能があり、一部の製品では音声で気分を伝えると、適した番組を探してくれる。しかし、スマートTVにも問題がある。1つは、テレビの画面を使う為に、現在視聴をしている番組を妨害する事である。もう1つは、テレビの値段を高くしている割には、利用可能期間が短い事だ。ディスプレイ自体は何年も使えるが、スマート機能は1、2年で陳腐化する。SamsungのEvolution KitはスマートTVのハードウェアをアップグレードを可能にしている。これにより、スマートTVがスマートでいられる期間が伸びる。しかし、Kitの価格は$500である。Samsungの最新のスマートTVには、クアッドコアのプロセッサーが使われており、Evolution Kitのコストは高いかも当然かも知れない。しかし、テレビに出来るだけのインテリジェンスを詰め込む商品戦略は、時代に逆行しているように感じさせる。

コンテンツの発見は無視することの出来ない問題である。スマートTVで放送、ストリーミングビデオ、音楽、その他のコンテンツが利用出来るようになっても、ウルトラHDで映像が綺麗になっても、膨大な勢いで増えているコンテンツの中から好みの物が探せなければ、コンテンツの消費は増えない。セカンドスクリーンはそれを解決する最も身近なソリューションである。

セカンドスクリーンは理想的なソリューションである。デバイスはすでに視聴者が持っている物であり、新たに提供、あるいは購入をする必要はない。また、コンテンツ側とテレビ等のデバイスベンダーとの交渉も不要だ。セカンドスクリーンは、コンテンツの発見だけでなく、ソーシャルメディアとの連携、インタラクティブなコンテンツ、Tコマース等のコンテンツのエンハンスメントにも使うことが出来る。

しかし、セカンドスクリーンが普及するにはいくつかの課題がある。技術的な課題で重要な事は、ファーストスクリーン(テレビ)との連動である。ファーストスクリーンと連動する事無く、セカンドスクリーンは存在出来るが、一般的に利用されるようにはならない。最初の課題は、テレビが何の番組を映しているかをセカンドスクリーンが知る事だ。音声を使った認識技術が出ているが、完璧なソリューションではない。DirecTV、Dish、U-Verse等のSTBは視聴者が見ている番組をセカンドスクリーンに伝える機能があり、瞬時にセカンドスクリーンが番組と連動する。しかし、標準プロトコルではなく、特定のアプリとしか対応出来ない。

もう1つの課題は、NetflixとYouTubeが共同で開発しているDIALが解決しようとしている、セカンドスクリーンからテレビ側のアプリを立ち上げる機能である(NetflixとYouTubeのDIAL参照)。

課題は技術的なことだけでは無い。1つの大きな議論は、誰がリーダーシップを取るかである。番組は、コンテンツ事業者の物であるから、セカンドスクリーンもコンテンツ事業者の物か。コンテンツ事業者には、セカンドスクリーンへの広告に対する権利もあるのか。ファーストスクリーンでの広告を買った会社には、セカンドスクリーンの広告の権利も付随するのか。しない場合、競合スポンサーがセカンドスクリーンで広告をする事はOKか。コンテンツ側の権利には、番組に関連するソーシャルな会話も含まれるのか。ソーシャルは別であれば、ソーシャルTVのアプリは番組をネガティブに利用しても良いのか。誰がリーダーシップを取るかで、セカンドスクリーンが提供する体験は大きくと異なる物になるであろう。

これ以上に大きな議論は、誰がセカンドスクリーンが生み出すデータを持し、そのプライバシーはどうなるのかの問題である。テレビの視聴統計は重要なデータである。これにリアルタイム性、発言、好み、付き合い、さらには買い物の履歴まで加わった、セカンドスクリーンのデータの価値は非常に大きな物である。これらデータの持ち主は誰であり、どのような利用が許されるのか。テレビの視聴情報、それにウェブの情報に対してはそれぞれ利用方法に対する合意があるが、基準は必ずしも同じではなく、テレビの視聴に対してはよりセンシティブである。セカンドスクリーンはどちらかの基準が当てはまるのか、あるいは新しい物が必要か。これらはすぐに解決出来る議論ではなく、セカンドスクリーンの発展に大きなインパクトをもたらせていく。