多チャンネルサービスとiPad

多チャンネル事業者はIPadをNetflix等のオーバー・ザ・トップ(OTT)のビデオ配信と競合する重要なツールと考えている。IPadは多チャンネル事業者が提供する既存のサービスと、彼らがインターネットで提供する情報、コンテンツ(TV Everywhere)を融合するのに適したデバイスである。IPad 2では、HDMIがサポートされ、よりビデオのサポート強化された。しかし、これは、OTTビデオ事業者に対してTVとの統合を容易にする物でもある。IPadから簡単に1080pでビデオをTVに送ることが出来る。さらに、Apple TVを加えれば、ワイアレスの環境でNetflixでビデオを探し、TVに映すことが出来る。OTTのビデオコンテンツを簡単にTVに送ることが出来る事で、OTTVビデオ事業者が多チャンネルサービスの本格的な挑戦者になる可能性もある。

IPadの発売以来、多チャンネル事業者はこれいかにそのサービスに取り入れるかを検討している。すでに、Comcast等はiPadでサービスのナビゲーション、オンラインで提供しているビデオの視聴を可能にしている。多チャンネルで放送されている番組をiPadで視聴可能にする計画もTime Warner Cable(TWC)、Verizon等の幾つかの事業者が発表している。

TV番組をそのまま、iPadに配信するサービスとしては、TWCがが一番乗りをした。TWCは3月にその加入者対象に、ケーブルTVで放送されている32チャンネルを放送と同時に視聴可能にするアプリケーションをiPad向けに提供し始めた。TWCはこれらチャンネルをインターネットで送り、視聴可能にしている。現在、対象になっているデバイスはiOSだけで、PCでは視聴出来ない。TWCは提供される32チャンネルは全て、許可が得られたチャンネルであり、また、契約ではカバーされない屋外での視聴は不可能にしてあると発表した。これらチャンネルには地上波再送信は含まれていなく、多チャンネル向けネットワークが対象である。

しかし、TWCのサービスと開始直後にFoxの多チャンネルネットワークのFXとNational GeographicはこのiPadアプリは、契約を侵害しているとして、TWCに停止命令を出した。これに続きDiscovery(チャンネルは、Discovery、TLCとAnimal Planet)、Viacom(BET、CMT、Comedy Central、MTV、Nick、Spike、VH1)等も停止命令を出し、iPad向けのチャンネルは一時的に20以下に減った。しかし、その後、TWCは新たなネットワークとの交渉を行い、4月1日時点で、39チャンネルを放送している。
TWCは、コンテンツ事業者との契約はその番組を家庭内のTVに提供する物であり、なぜ、iPadのアプリケーションが契約違反になるのかが理解出来ないと反論し、視聴者からのサポートを得るためのウェブサイト(IWantMyTWCableTVApp.com)を作っている。TWCは、2005年から2007年にケーブルTVの番組を放送と同時に家庭内のPCで視聴可能にするインターネット配信の実験をサンディエゴで行ったが、この時もコンテンツ事業者の多くは反対をした。

TWCの今回のサービスに対して、最初から参加を拒否したネットワークの1つは、Disney系のESPNである。同社は、iPadのアプリケーションでは、ブラックアウトに対応出来ないからだと説明をしている。ESPNは、地元局がスポーツ中継のその地域での独占放送権を持つ場合、その地域ではESPNの中継をブラックアウトしている。しかし、Disneyは別のTWCとの契約で、TWCへの加入世帯に対して、ESPNを含めたDisney系のチャンネルを放送と同時にインターネット経由でPCから視聴可能にしている。PCはなぜOKで、iPadが駄目かの説明はされていない。

同様のサービスを計画しているCablevision社はTWCへの停止命令に関係なく、同社のiPadへの放送サービスは予定通りに開始すると発表している。CablevisionはTWCとは違い、ケーブル放送で提供している全チャンネルをiPad向けに提供する。TWCは、iPadへの配信はインターネットを使っているに対して、CablevisionはケーブルTV上でIPストリームの配信を行う。Cablevisionは、閉鎖されたネットワーク上で行われるサービスであり、QAMの代わりにIPを使い、TVではなく、iPadで受信する以外は既存のケーブルTVと同じ物であり、契約を侵害しないと語っている。