SVODには広告が無いのが当たり前であったが、広告付きSVODへの加入者が急速に増えている。Antennaによると、広告付きSVODプランの加入者は2022年Q1では28%であったのが、2024年Q4では38%に増え、新規契約に占める広告付きプランの率は56%になっている。広告付きプランが増える共に、広告無しとの価格差も広がっている。最も価格差が大きいサービスはHuluで、広告付きは$7.99、広告無しは17.99で$10の差がある。
しかし、広告付きサービスに1加入者あたり、$10の広告収入がある訳では無い。Huluの2024年Q1でのARPUは$11.84であった。事業者が価格差を広げているのは、広告無しプランへの加入者を増やすためである。価格差が数ドルだと、広告無しプランを選択する可能性が増える。広告を売るに十分な規模の視聴者が必要であり、価格差を広げることで、広告無しプランを選択する人を増やすことが出来る。

Antenna
広告視聴者を増やすのであれば、広告無しプランを廃止しても良いのだが、広告無しプランにも大きな価値がある。広告無しプランに加入している人はサービスに対する忠誠心が高く、チャーンが低い。Hub Entertainment Researchによると、加入しているサービスに来年も加入しているかの問に対して、絶対にYesと答えたのは広告無しプランへの加入者では52%であるのに対して、広告付きプランの加入者では40%となっている。

Hub Entertainment Research
Hub Entertainment Researchの調査では無料のFAST、あるいは地上波放送の利用者もSVODに加入しているが、彼らはコスト優先であり、忠誠度は低いと分析している。FAST/地上波利用者の70%は3つ以上のSVODサービスにも加入しており、新しいSVODサービスへの関心度も高い。FASTと地上波の両方を利用している人の35%は前の月に新しいSVODサービスに加入したと答えており、さらにその半数以上の59%は2つ以上の新しいサービスに加入している。しかし、26%は前の月に1つ以上のSVODサービスをキャンセルしたと答えている。SVODだけの利用者では前の月に新規契約した人は6%で、キャンセルした人も5%であった。
コスト重視の視聴者を得るためには安い広告付きプランが不可欠である。しかし、広告付きプランの加入者はチャーンが高く、安定した運営が難しい。広告付きプランへの加入者が多いとチャーンは少ないが、広告収入を増やすことはが難しい。最も広告付きプランへの加入者が多いのはNetflixである。Antennaによると、2023年末で93%は広告無しプランへの加入者である。広告無しプランへの加入者が少ないのはPeacockで、23%である。忠実な加入者が多いサービスもNetflixで、Antennaによると58%はチャーンリスクがない加入者である。Peacock加入者の中、チャーンのリスクがあるのは74%と高い。しかし、広告付きプランへの加入者数はPeacockがNetflixよりも4倍多く、広告収入も高い。

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