Rokuはなぜ強いのか

Connected TV Marketing Association(CTVMA)が世界でのTV OSのマーケットシェアを発表した。これによると、Samsung TVのTizenが12.8%のシェアを持ち、トップで、2位はHisenseのVIDAA(8%)、LGのWeb OS(7.4%)と続く。Roku OSとAmazonのFire TV OSが6.4%で4位に並んでいる。

しかし、アメリカでの状況はかなり違う。スマートTVに限定するとTizenが1位であるが、CTV全体ではRokuがトップだ。Hub Entertainment Researchの調査ではアメリカのストリーミング世帯の55%はRoku OSが搭載されたデバイスを持っている。2位は54%のストリーミング世帯が持つTizen、3位がWeb OS(37%)、4位がFire OS(40%)である。世界的には2位のVIDAAは殆ど無い。HisenseはアメリカではRoku搭載テレビに力を発売している。


Connected TV Marketing Association

RokuとTizenが搭載されたCTVデバイスはアメリカのストリーミング世帯の50%以上に設置されているが、同等の勢力ではない。スマートTVのOSはテレビに搭載されているので、シェアはあるが、使われているとは限らない。搭載されているOSが使いにくい、あるいは使いたいアプリが無い場合は、Roku、Fire TV等のストリーミング・プレーヤーを購入して使うことになる。ComscoreによるとCTVで視聴されたストリーミング・コンテンツの49%はRokuで視聴されている。2位は16%のFire TV、3位は14%のTizenで、Rokuのシェアは圧倒的である。TV OSの収入源は広告であり、視聴時間の多いRokuはCTV広告でも大手である。


Hub Entertainment Research

RokuはDVRのReplay TVを開発したアンソニー・ウッドの6つ目のスタートアップ(社名は日本語の「六」から来ている)で、Netflixとの共同でストリーミング・プレーヤーを開発していた。Netflixは郵便でのDVDレンタルからストリーミングへの移行を進めていた。当時、ストリーミングビデオの視聴に使われていたデバイスはPCで、Netflixのストリーミング・サービスを居間のTVで見ることを可能にするために、NetflixはRokuとストリーミング・プレーヤーを開発していた。しかし、自前にハードウェアを持つことが将来的にスマートTVベンダーとの契約の障害になることを危惧したリード・ヘイスティングスはリリースの直前に計画をキャンセルした。

Netflixは2007年にSVODを開始し、Rokuは2008年に最初のストリーミング・プレーヤーを発表した。自社でストリーミング・プレーヤーを持たないことは正解で、Netflixは殆ど全てのCTVのリモコンにNetflixボタンを搭載させることが出来た。独立したストリーミング・プレーヤーであることはRokuにもメリットを与えた。現在は、Roku Channelを持つが、ストリーミング・サービスを提供していなかったことはストリーミング事業者との契約を楽にし、Rokuは現在でも最も多くのアプリを提供している。独立した会社であることはTVベンダーとの契約も楽にし、Roku OSを使ったテレビはTCL、Hisense、Philips、Sharp、Onn(Walmartのプライベート・ブランド)等から発売されている。

RokuはAVOD事業者向けの広告プラットフォームを提供しており、2017年にFAST/AVODのRoku TVもスタートしている。RokuはNBCUniversal、Warner Bros. Discovery等とSVODサービスのアプリ契をする際にRoku Channel向けのコンテンツ契約も行い、他のFASTチャンネルには無いコンテンツを得ることが出来た。Samsung TV等も独自のFASTサービスを提供しているが、Roku Channelはアメリカ最大のFASTで、利用者、それに視聴時間でもTubi、Pluto TVを上回り、トップである。Rokuは市場参入が早く、大きな設置ベースを持ち、それを有効に使うことで、プラットフォーム収入を増やしてきた。しかし、海外への展開は遅く、Rokuの勢力はアメリカだけである。