DisneyのFox資産買収は必要だったのか

2019年3月にDisneyはFoxの地上波ネットワークと多チャンネル向けネットワークのFS1、FS2、Fox News等を除いた資産を$713億で買収した。買収した主要な資産は:

  • 映画スタジオ: 20th Century Fox、Fox Searchlight Pictures
  • 多チャンネル向けネットワーク: FX、FXX、FXM、National Geographic等
  • Star India: 70以上のTVチャンネル、ストリーミング・サービス
  • Huluの株33%
  • Fox Sports Network: 地域スポーツ・ネットワーク

DisneyはESPNを持ち、スポーツチャンネルでは大きなシェアを持つことからFox Sports Networkの所有は認められず、Sinclairに売却し、Bally Sportsになった。Bally Sportsは破綻し、再建をしようとしており、DisneyがFox Sports Networkを売ったことは正解であった。DisneyがFox資産を買収したのはDirect-to-Consumer化のためであり、Disney+の急速な成長はそれが正しかったと思われたが、時間が経つことで買収価値が疑問視され始めている。

2020年にDisneyは20th Century FoxとFox SearchlightからFoxの名称を切り、20th Century StudioとSearchlight Studioに変更した。Disneyと20th Centuryの2つのスタジオを運営することは容易ではない。Disneyのアメリカでの興行成績でのシェアは2017年は22%でトップ、2022年は18%で2位だが、20th Century Studioのシェアは落ちている。Foxが親会社であった2017年のシェアは12%で4位、2018年では9%で5位であった。2021年と2022年ではそれぞれ、4%で7位、7%で6位と、シェアを落としている。Covid-19の影響もあるが、映画の興行売上は2017年の$120億から2022年には$74億に落ちている。

多チャンネル向けネットワークにも問題がある。コードカッティングにより視聴が大きくと減っているチャンネルもあり、多チャンネル事業者はこれを切ろうとしている。CharterはDisneyとの再送信契約の更新でいくつかのチャンネルを切ることが出来た。Charterに切られた7つのチャンネルの内、4つはFoxから得たものである。

Star Indiaの資産にはストリーミングサービスのHotstarが含まれ、Disney+ Hotstarとしたことで、Disney+はスタートから1年ちょっとで1億人に達した。Disney+ HotstarにはクリケットのIndian Premier League(IPL)が含まれているのがヒットした理由だが、Disney+ Hotstarは低価格であり、収入には貢献していない。2023年Q2でのDisney+ HotstarのARPUは月54セントでしかない。DisneyはIPLのストリーミング契約を更新出来なかった。これにより、Disney+ Hotstarの加入者は減少をしている。2022年Q3には6130万人いた加入者はDisney+ Hotstarの加入者は2023年Q2には4040万に減っている。DisneyはDisney+ Hotstarとインドの放送事業を売ろうとしている。

20th Century Foxの映画とFXのテレビ番組はDisney+ではなく、Huluの配信であり、Disney+への直接的なインパクトは無いが、Disney+はHuluとのバンドルで加入者を増やしている。Huluの加入者は2019年Q1では2520万人で、2023年Q2には4370万人になっているのでFox資産の買収はプラスにはなっている。しかし、映画とテレビ事業の今後を考えると、切り捨てたFoxの方が正解であったのかも知れない。