大手放送局所有会社のNexstar、E. W. Scripps、それにGray Televisionは相次いで、放送局が得る多チャンネルサービス事業者からの再送信料は大きく増えるとの予想を発表した。再送信料が増える理由としてGrayはBally Sports等の地域スポーツネットワーク(RSN)の破綻を上げている。GaryはRSNが放送して来た試合は地上波で放送されるようになり、地上波の価値が高まると述べている。Grayによると多チャンネルサービス事業者が支払っている再送信料の22%は地上波、10%はRSN、残りは多チャンネル向けネットワークが受け取っている。RSNが破綻し、地上波局のスポーツ放送が増えることで、RSNが受け取っていた再送信料は地上波に流れることになる。Grayによると、RSNの取り分の半分が地上波に行くとして、再送信料は23%増え、年間$30億の増収になる。
Nexstarは多チャンネルサービスのチャンネル減少を理由にしている。Charter CommunicationsはDisneyとの交渉で、視聴者の少ないチャンネルを切ることが出来た。Nexstarはこれは、多チャンネルサービス業界全体のトレンドとなり、多チャンネル向けネットワークが減る分、地上波ネットワークの再送信料が増えると分析している。NexstarはDisney+等のDTCサービスは赤字であり、ネットワーク事業者は地上波に戻り、地上波向けコンテンツが豊富になり、再送信料も増えると結論している。
どちらの予想にも無理がある。Grayが言うようにRSNで放送されていた試合の一部が地上波で放送されている。しかし、これは一時的な動きである、チーム、それにリーグはNFL Sunday TicketのようなDirect-to-Consumerのサービスへ移行をしようとしている。RSNがチームに支払ってきた権利金は多額である。地上波がそれを無料で放送し、チームは広告収入で同じレベルの収入を得ることは不可能であり、収入を維持するには有料のストリーミングに移行することになる。
CharterがDisneyと戦ったのは高くなりすぎた再送信料を減らすためである。多チャンネルサービスの料金はインフレ以上の値上げをしており、それがコードカッティングに大きな原因の1つである。多チャンネル事業者はコンテンツのコストを下げようとしており、Nexstarが言うように多チャンネル向けネットワークへの支払いが減った分を地上波局に支払うことはありえない。また、ネットワークはDTCにコミットしており、DTCを諦めて地上波に戻ってくることはない。両社共に、多チャンネルサービスのチャンネル数は減るが、加入者は同じ金額を支払うことを前提にしている。NexstarはDTCサービスの値上げにより、コードカッティングはストップするとまで予想している。
何よりも大きな問題は、放送局所有会社は多チャンネルサービス事業者の再送信をあてにしていることだ。コードカットが進んでいるのであれば、地上波を直接受信する世帯を増やすことに力を入れるべきである。地上波の直接受信世帯は15%程度である。コードカットにより僅かな増加があったが、FASTの普及でまた減少をし始めている。直接受信の世帯を増やし、ATSC 3.0への移行を加速させ、広告に収入を増やことが優先であるはずだ。
