なぜNBCUはiSpot.tvを採用したか

NBCUniversalは長いことNielsenに対する不満を明らかにしていたが、ついにNielsenに加え、iSpot.tvも採用する事を決定した。Nielsenの統計に対する問題は様々あるが、大きなポイントは3つある。1つは依然としてテレビ世帯に根付いていることである。Nielsenの調査はテレビ世帯に対してであり、テレビ世帯が分母になる。統計は視聴率ではなく、視聴者数が主に使われているが、調査対象はテレビ世帯であることは変わりない。テレビ世帯の定義は、テレビ受像機を保有し、地上波アンテナ、あるいは多チャンネルサービスでコンテンツにアクセスしている世帯であったのが、現在では媒体としてブロードバンドも加わっている。しかし、テレビ受像機を持っていない世帯は含まれていない。コンピュータ、スマートフォン、タブレットでもテレビ番組が視聴出来る現状にマッチしていない。

もう1つの問題はNielsenはストリーミングでの視聴、家庭外視聴も調べているが、家庭外視聴は放送視聴に含まれ、分かれていない。3つ目は Nielsenが測っているのは番組の視聴者であり、広告自体の視聴はまだ測っていない事だ。

iSpot.tvはNielsenのようなパネルでは無く、放送広告の視聴はデバイスから直接得ている。放送、それにスマートTVでのストリーミングにはスマートTVを使っており、7つのベンダーのテレビ4000万台からデータを得ている。スマートフォン、タブレット等のストリーミング視聴にはパートナーのConvivaを使っている。家庭外視聴の測定にはTunityを使っている。Tunityはスマートフォンを使いミュートされているテレビの番組を認識し、その音声を再生するアプリで、バー、ジム等の公共の場所にあるテレビの音声を聞くのに使われている。Tunityは無料だが、そのデータを販売している。iSpot.tvは最近にTunityの買収を発表している。

iSpot.tvのコンテンツ認識は番組だけでなく、広告も認識することが出来るので、広告自体のインプレッションを提供出来き、さらに広告視聴の完了率も報告している。番組自体の視聴率が高くても、広告の時にチャンネルが変わっていれば、広告のインプレッションにはならない。逆に、視聴率は高くなくても、番組に集中し、広告も見られている方が広告する価値は高くなる。

NBCUniversalは視聴率に囚われるのは古いパラダイムであり、今後の目的は広告媒体としての効率を知ることだと語っている。例えば、北京オリンピックの視聴者数は減ったが、見ている人たちのエンゲージ度が高く、広告中のザッピングが低いのであれな、広告も見ており、エンゲージメント度が低い番組より広告効果は高く、広告価格も高く出来る。広告効率を示すことが出来れば、UpFrontでの契約が有利になる。また、iSpot.tvのデータはパネルからのデータより素早く、プログラマティックな取り引きにも有効である。


iSpot.tv

NBCUniversalだけでなく他のネットワークもiSpot.tv、ComScore、VideoAmp等の統計を試している。多くのデータがあり、広告効率を知ることが可能になることは広告主にもメリットがある。しかし、これまでのように1つのカレンシーが絶対でなくなると、混乱も起きるであろう。

すでに、Nielsen自体が混乱を巻き起こしている。スーパーボウル視聴者の発表があった数日後に、NielsenはNFLが協力した調査ではスーパーボウルLVIのリーチは1.67億人より25%も高い2.08億人の可能性があると発表した。シカゴ大学が6,600人を対象に行なった調査ではグループで視聴した際に集まった人数はNielsenの想定より高く、その調査結果を使うとリーチは2億人以上で、アメリカ人口の3分の2が試合を見たことになる。しかし、自社の調査手法を否定しているような報告であり、Nielsenに対する信頼性をさらに減らす可能性もある。