アドレッサブルTV広告の課題

テレビ放送の18歳以上のリーチは2017年では93%であったのが、2020年では80%に落ちている。特に減少が大きいのは18歳~34歳の層で、リーチは86%から62%へと減った。テレビ広告が失った層にリーチする為に、大画面であり、コンテンツもテレビ放送と同等であるCTVへの広告が増えている。eMarketerの統計であ2021年のテレビ放送広告の規模は$659億、CTV広告は134億で、5対1の割合になっている。2021年では4対1の割合になると同社は予想している。

CTV向け広告は基本的にアドレッサブルであり、アドレッサブル広告に対する関心も増えている。Advertiser PerceptionsがWarnerMediaとDirecTVの為に6月に行った調査ではアメリカの200の広告主の55%はCTV向け広告を増やし、47%はアドレッサブル広告を増やすと答えている。さらに、回答者の85%はアドレッサブル広告は購買者にリーチするのに信頼出来る方法であり、79%はアドレッサブル広告でのキャンペーンに満足をしていると答えている。

この回答を見ると、CTVでのアドレッサブル広告がかなり普及しているように思えるが、実際の規模はまだ$30億程度で、CTV広告の20%程度でしかない。これは、アドレッサブル広告の定義に対して混乱があり、広告主の多くは何がアドレッサブル広告であるかがはっきり分からず、広告のターゲット化と混同されてるためである。Advertiser Perceptionsがアドレッサブル広告の定義は何かと聞いた質問に対して、正解である「ターゲットされた広告をコンテンツに動的に挿入することで、同一の広告枠において、異なる広告を関連した世帯に送ることを可能にすること」を選んだ人は37%と少なかった。

アドレッサブルTV広告とは?

定義

回答率
ターゲットされた広告をコンテンツに動的に挿入することで、同一の広告枠において、異なる広告を関連した世帯に送ることを可能にすること 37%
ファースト、それにサードパーティのデータを使い、広告を様々なスクリーンを使い、ターゲットした消費者に送ること 13%
STBを使い、ターゲットした購買者の世帯だけに送るケーブルTVでの広告 12%
リニアTVでの広告を最適化する為に異なるデータセットを利用し購入する購買者ベースの広告 11%
これまでのデモグラフィックなデータに加え、サイコグラフィックなデータも加えて購入した広告 9%
プログラマティックに購入したリニアTV広告 6%
既存のGRPでは無く、インプレッションとCPMで購入した広告 3%
以上すべて 10%

Advertiser Perceptions

広告主はアドレッサブル広告をしていると思っていても、実際はそれらはアドレッサブル広告では無い可能性もある。アドレッサブル広告の規模が小さく、誤解もあるのは、まだ市場は未熟であるからだ。アドレッサブル広告するには2つの方法がある。1つはCTV広告大手プラットフォームであるHulu、Roku等を使う事である。どのようなコンテンツに広告が挿入するか等のコントロールはあるが、リーチはそのプラットフォームの利用者に限定される。もう1つの方法はプログラマティックな広告サービスを利用する方法で、複数のAVODサービスに広告が挿入されるので、リーチは広がるが、求めているようなコンテンツに挿入されるか分からない。会社のブランドにそぐわないAVODサービスのコンテンツに広告が挿入されるリスクもある。


eMarketer

また、視聴データは各プラットフォームで異なり、複数のプラットフォームを利用する事は困難である。行ったとしても、結果を比べる事は不可能である。Nielsenの統計に対しての不満はあるが、放送広告では最低でも共通のメトリックスが存在する。しかし、CTV広告は現時点ではそれぞれ、クローズドなプラットフォームである。アドレッサブル広告の普及にはオープンなプラットフォームと共通したデータ定義が必要になる。