噂通りにComcastがスマートTVの販売を開始した。欧州ではComcastが持つ多チャンネルサービス事業者のSkyがSky Glass 、アメリカではComcastがXClass TVを発売開始した。Sky GlassとXClass TVは異なる製品で、製品の目的も違う。
Sky Glassはブロードバンドで再配信されているSkyの放送を使い、衛星アンテナとSTB無しでSkyのサービスを受けることを可能にし、さらに、BBC iPlayer、Netflix、ITV Hub、All4、Disney+等のSVODサービスも利用することが出来る。Sky Glassは43インチ、55インチ、65インチの3モデルあり、価格はそれぞれ£649、£849、それに£1049となっている。また、分割払いも可能でその場合の価格はそれぞれ、£13、£17、それに£21となっている。2022年にはSky Glass用の4Kカメラも発売になる、Zoomでのミーティング、TV番組の関するビデオ・チャット、エクササイズ・アプリ等が提供になる。
Sky GlassはSkyの加入者向けの製品で、アンテナとSTBを不要にすることで導入を簡単することを狙った製品である。製品はSkyが直販する。Sky Glassで利用出来る最も安いサービスのSky Ultimate TVは£26で、43インチのSky Glassを分割で買えば、月額£39で新しいテレビとSkyサービスの利用が可能になる。Sky Glassの機能を通常のテレビで使えるようにするストリーミング・プレーヤのSky Puckも月£10で提供になる。ComcastがX1をCox等にライセンスしているように、Sky Glassもライセンスされ、すでにオーストラリアのFoxtelが契約をしている。
アメリカで発売開始されたXClass TVはComcastのストリーミング・プレーヤのFlexを内蔵したテレビである。43インチと50インチの2機種で、43インチの価格は$298、50インチは$348と、低価格である。Sky GlassはアンテナとSTBを不要にし、安く、簡単にSkyサービスを利用可能にすることを目的にしているのに対して、XClass TVはSamsung、LG、Sony、Hisense、Vizio等からのスマートTVと競合する製品でComcastの営業地域だけでなく、全米でWalmartが販売する。XClass TVはNetflix、Hulu、Amazon Prime Video、Disney+、HBO Max、Peacock等のOTTサービスが利用可能であり、SVODだけでなくComcastのケーブルTVサービスと競合するHulu with Live TV、Sling TV、YouTube TV等も利用可能になる。
XClass TVの目的はComcastの全米展開を可能にする事である。衛星事業者のSkyとは違い、ケーブルTV事業者であるComcastは営業地域が限られてきた。Comcastは最大のケーブルTV、それにブロードバンド事業者であるが、その地域には大都市のニューヨーク、ロサンゼルスは含まれていない。Comcastの多チャンネルサービスは営業地域以外では加入出来ないが、XClass TVには1年分の広告付きPeacock(月額$5)が含まれる。
ComcastがXClass TVを投入した背景にはアドレッサブル広告向けの視聴者データがある。NBCUniversalにとり、広告収入は重要であり、Peacockにより放送からCTV向けの広告へのシフトを狙っている。また、Comcastは広告プラットフォームのFreewheelも持っている。営業地域の視聴者に関してはSTBとFlexから豊富なデータを得ることが出来ているが、営業地域外では他社のデータを使う必要がある。XClass TVにより、営業地域以外でも自社データを持つことが出来る。しかし、それはRoku、Amazon(Fire TV)、Google(Android TV)、Apple、Samsung(Tizen)、LG(WebOS)と競争することになり、容易な事ではない。
