Huluのコンテンツ危機

HuluはDisney、Fox、NBCUniversalがテレビ番組のキャッチアップ向けの配信をするプラットフォームとして設立された。オリジナルのコンテンツもあるが、今でもHuluの魅力は、CBSを除くほとんどのネットワークのテレビ番組を見ることが出来ることである。Huluは3社の共同運営から、Disney1社の経営になったことで、事業が安定し、加入者は2019年末の3040万人からQ2には4800万人に増えて、黒字事業になっている。しかし、コンテンツ事業者がDTCサービスを始めたことで、Huluの将来に問題が現れている。

2022年にはNBCUniversalは多くのコンテンツをHuluから取り除くことが可能になる。Comcastは2024年までHuluの株を売却する事は出来ず、Huluとの配信契約も続くので、すぐにNBCUniversalの作品がすべてHuluから消える事は無い。Comcastとして、Hulu株をDisneyに売る前にHuluの価値が暴落する事は避けたいので、過激な動きはしない。しかし、Huluの儲けより、Peacockの成功の方が重要であり、ヒットしている番組はPeacockでの独占、あるいは優先配信に変えるであろう。

さらに、HuluとViacomCBSのViacom系のコンテンツ、それにFoxとの契約も更新時期に来る。ViacomCBSはHuluに遠慮する必要は無く、Huluから撤退し、すべてをParamount+での配信にするであろう。FoxにはSVODが無いので、最新シーズンの作品はHuluに残すかも知れないが、Amazon等がHuluより良い条件を出せば、Huluを使い続ける必要はない。また、過去の作品はAVODのTubiの独占にしていくであろう。HuluからNBCUniversal、Viacom、Foxのテレビ番組が無くなると、コンテンツはDisneyの持つABCとFXの番組、それに20th Century Studioの映画が主体のサービスになり、現在の魅力は失われる。

それまでに、Huluはオリジナルコンテンツの制作を増やす必要があるが、DisneyはDisney+のオリジナルコンテンツを制作するのが優先であり、Huluオリジナルには大きな投資は出来ない。かと言って、ABC、FX、20th Century Studioの作品はDisney+の家族的なイメージには合わないので、これらをDisney+に統合する事も出来ない。

Huluの海外進出を行い、その売上でオリジナルに投資する方法がベストだが、これも困難である。Huluがアメリカで配信している作品の権利は国内だけであり、海外では配信出来ない。オリジナル作品にしても、多くのコンテンツの海外での配信権は制作スタジオが持ち、Huluの権利では無く、海外進出をするにも、コンテンツが少なすぎる。現在、海外で配信可能なHuluのオリジナルコンテンツは、Disney+内の別ブランドのStarで配信しており、これを奪いことも出来ない。

DisneyによるとDisney+の加入者の増加は減速しており、Q3の増加は数百万人程度になる。売上を増やすためにはDisney+が提供されている地域を拡大し、オリジナルコンテンツを増やしていく必要がある。現状ではDisney+が優先であり、Huluに積極的な投資は出来ない。しかし、Huluから多くのコンテンツが消える危機に準備をしておく必要があり、Disneyにとっては悩ましい状況になっている。