調査会社のTDGによると、アメリカのコネクテッドTVの利用世帯は停滞し始めている。理由はブロードバンド加入世帯の増加が鈍っているためである。すでに85%の世帯はブロードバンドに加入し、その86%はCTVを利用している。ブロードバンドへの新規加入者は2020年のQ2では135万世帯であったのが、今年のQ2では90万世帯に落ちている。CTV利用者も2015年からでは25%の増加があったが、昨年からでは1.2%しか増えていない。スマートTVに限定すると、Parks Associatesによると普及率はブロードバンド世帯の56%に達している。
利用世帯率が停滞しているとは言ってもスマートTV、あるいはストリーミング・プレーヤの売上が鈍っている訳ではない。CTVの設置場所が増えることで、世帯あたりのCTV台数は増えている。居間におけるCTVの設置率は2020年の77%から83%に増えている。CTVの設置場所としてもっと増えたのがマスター・ベッドルームで、41%から50%に増えている。セカンド・ベッドルームでのCTV設置も22%から28%に増えている。

TDG
ストリーミング視聴のアナリティクスを提供しているConvivaによるとコネクテッドTVは世界のストリーミング視聴時間の73%を占めている。新しいテレビの殆どはスマートTVであり、テレビがスマートTVでリプレースされるとともにストリーミング・プレーヤでの視聴時間が減り、スマートTVでの視聴時間が増えている。Q2ではストリーミング・プレーヤでの視聴時間は5%成長しただけで、スマートTVでの視聴時間は46%増えている。
スマートTVの成長により、参入する会社も増えている。Amazonは自社ブランドのスマートTVを発表し、ComcastもスマートTVの発表を予定している。また、LG Adsはサードパーティ向けの新たなスマートTV向けのOSを発表した。

Conviva
Amazonは2014年からFire TV OSの提供を開始し、Elemental、Westinghouse、Toshiba、Insignia(Best Buyのストア・ブランド)等からFire TVのスマートTVが発売されている。名称が「Fire TV Edition TV」とぎこちないだけでなく、製品はすべてローエンドで、安いだけが魅力であった。新たに発表になったAmazonブランドのOmniとTV 4シリーズはHDR等対応で、より高機能な製品になっている。また、単にFire TVを組み込んだだけでなく、Alexaとの対応し、Amazonのセキュリティ・カメラのRingからの映像をピクチャー・イン・ピクチャーで映す等の新たな機能も追加している。Omniシリーズは43インチから75インチの5モデルあり、価格は$410から$1100となっている。TV 4シリーズは43インチから55インチの3モデルで、価格は$370から$520となっている。
RokuとAmazonはストリーミング・プレーヤで首位争いをしていが、RokuはRoku内蔵のスマートTVをTCL等が販売することでシェアを伸ばしてきた。OmniとTV 4シリーズRoku TVへの大きな挑戦になる。また、スマートTV向けのOSとしてもGoogleのAndroid TVへプレッシャーを与える。
Comcastも自社ブランドのXClass TVと呼ばれるスマートTVの発表を予定している。43インチと50インチの2モデルで、Comcastのストリーミング・プレーヤのFlexを内蔵している。製品はHisenseが製造しており、価格等はまだ発表されていない。Comcastは自社ブランドのスマートTVだけでなく、FlexをスマートTVのOSとして提供する交渉もしている。Comcastに取り、スマートTVを売っても大した収入にはならないが、スマートTVに参入する目的は視聴データを得るためである。
Comcastは広告プラットフォームのFreeWheelを持っており、またNBCUniversalもPeacock等のOTTサービス展開の為に視聴データを必要としている。Comcastは同社のブロードバンドユーザにFlexを無料で提供し、380万の利用者がいる。視聴データはSTBのXfinityからも得られるが、Flexは主にコードカッティングした世帯での設置であり、それら世帯かの視聴データが得られる事はComcastに取り重要である。Flex内蔵のテレビが売れれば、Comcastが得られる視聴データ・ポイントを増やすことが出来る。
LG AdsはもスマートTVからの視聴データを狙っている。LGは今年の初めに視聴データ会社のAlphonsoを$8000万で買収し、LG Adsにリブランドしている。LG Adsは新たにスマートTV向けのRiver OSを発表した。すでにいくつかのセットメーカーとの契約を完了させており、今年中にインドで同OS搭載のスマートTVが発売になり、来年にはアメリカでも発売開始になる。River OSはセットメーカーがホームスクリーンに広告を挿入することを可能にする等、それぞれのベンダーのニーズに合わせたカスタム化が可能になっている。LG自体もRiver OSを採用するかは不明である。
