NBCUniversalとYouTube TVが再送信契約更新で揉めている。vMVPDのYouTube TVはNBCUのUSA、NBC Sports、Bravo等の多チャンネル向けネットワーク、NBC Sportsの地域スポーツネットワーク、それにNBCUが地上波局を保有する地域、あるいは加盟局が承諾した地域で地上波のNBCとヒスパニック向けのTelemundoを再送信している。この契約更新で2社は揉めており、契約が出来なかった場合、10月1日からYouTube TVはすべてのNBCU系チャンネルを失うが、短期の継続に合意し、放送は続いている。
交渉の内容は公開されていないが、2つのポイントが指摘されている。1つはYouTube TVは高価な地域スポーツネットワークを基本パッケージから除き、オプションのスポーツパッケージに動かしたいが、加入者が減り、減収となるのでNBCUはこれを拒否している。もう1つの、更に大きなポイントはNBCUが「チャンネル」として、Peacockの広告付き有料版をYouTube TVに加えることを求めているが、YouTube TVは支払額を増やす気も、他社のSVODを取り扱う気も無く、拒否している。
NBCUがPeacockを再送信契約に含めたい理由は利用者が伸び悩んでいるからだ。Peacockの利用者はQ2で5400万人と発表されているが、これには無料のAVOD版も含まれている。さらに、XfinityとFlex加入者には広告付き有料版は無料で提供されているので、本当の有料版加入者は僅かであると推測されている。YouTube TVとの再送信契約にPeacockを加えることが出来れば、Peacock加入者は400万人(YouTube TVの推定加入者数)増え、さらに今後の他の多チャンネルサービス事業者の契約にもPeacockを加える交渉の第一歩になる。
Peacockが伸び悩んでいる理由は、コンテンツ不足である。前のHuluの記事に書いたようにNBCの番組はHuluでも配信しており、Peacock独占ではない。多くの番組のHuluでの配信権は今年で切れるが、基本的な配信契約はComcastがHulu株をDisneyに売れる2024年まで残るので、Huluからの撤退は出来ない。NBCUのコンテンツをPeacockが独占に出来るまで、vMVDPを含めた多チャンネルサービス事業者にPeacockを強制出来れば、利用者を伸ばしていくことが出来る。
MoffettNathansonはもう1つの方法として、ComcastのHuluからの早期撤退があるとレポートしている。ComcastがすぐにHuluから手を切ることが出来れば、NBCUのコンテンツをPeacock独占に出来る。Disneyとの契約では2024年にならないとComcastはHulu株を手放す事は出ない。しかし、Disneyと多チャンネルサービス事業者としてのComcastとの再送信契約も切れる時期になっている。ComcastはDisneyに有利な再送信契約に合意する代わりに、DisneyがすぐにHulu株を買い取ることを求めることが求めることが出来るかも知れない。
DisneyとComcastがHuluの将来に関して合意して時点では、Comcastは経営に対して関与しないが、株は持ち、Huluに配信をし続ける事はお互いにメリットがあった。しかし、パンダミックとDisney+の大成功で状況は変わっている。Huluの記事に書いたように、DisneyもHuluをいかに利用するかで悩んでいる。早期にComcastがHuluから撤退する事はお互いにメリットはある。しかし、DisneyとしてはHulu株を買い取ることでComcastを儲けさせ、さらにPeacockのコンテンツを増やすより、現状の方が得策かも知れない。DTC化を進める際の過去のコンテンツ契約の問題は2022年の大きなポイントになりそうである。
