PEGチャンネルのデジタル移転問題

ケーブルTVはDirecTVに追いつこうとHDチャンネル数を増やそうとしている。しかし、帯域の上限があり、チャンネル数を増やすことは簡単に出来ない。最も簡単なソルーションはアナログで放送されているチャンネル数を減らし、デジタル帯域を増やすことである。しかし、ポピュラーなチャンネルを無くす事は、アナログサービスへの加入者を怒らせることになる。アナログで送信する事を辞めても影響が少ないのは視聴率の低いチャンネルである。どのチャンネルが視聴率が低いか? 答えはPEGチャンネルである。PEGはPublic、Education、Governmentの頭文字から来ており、ケーブルTV事業者がフランチャイズ契約の一環として、自治体に無償で提供している、公共放送のチャンネルである。自治体によっては、ケーブルTV事業者とPEGチャンネルの契約があっても、公共放送を行っていない場合もあるが、多くの自治体では市議会の中継をしたり、コミュニティーカレッジの講義を放送したり、何らかの形で、1、2チャンネルはPEG放送をしている。
ケーブルTV事業者はこれまで、静かにPEGチャンネルをアナログ放送の対象から外し、デジタルパッケージに動かし始めていた。アナログ放送で無くなる事で、PEGを見られるのはデジタルサービスへの加入者に限定されることになるが、PEGチャンネルを見ている視聴者は少なく、自治体の多くもその情報の発信にはPEGチャンネルではなく、ウェブサイトを使うようになっており、PEGをアナログで放送する事を止めることに難色は示していなかった。

しかし、今回、ミシガン州でComcastがPEGチャンネルのアナログ放送を中止する事に対して、連邦裁判所はこの差し押さえを命じた。Comcastは1年間無料で、デジタルSTBを加入者に提供する事で、自治体からの了承を取り付けようとしたが、連邦会員議会のエネルギーと通商委員会はPEGチャンネルのアナログ送信を止めることは問題があるとして、連邦裁判所に判定を求めた。

下院議会の通信とインターネット小委員会ではPEGの扱いに関する公聴会が開催された。この場で、Comcastはミシガン州のフランチャイズ当局と十分な連絡を行わずに決定を発表したことで誤解を招いたと謝罪し、フランチャイズ当局が合意出来る決定を行うことを約束した。

これで、Comcastは難を逃れたが、AT&Tが批判を浴びることになった。公聴会に呼ばれたPEGチャンネルを代表するAlliance of Community Media(ACM)はAT&TのU-verseはPEG チャンネルを公平に取り扱っていないと批判した。ACMによると、AT&TはPEGチャンネルに対しては字幕の表示を不可能にし、DVRの録画も出来なくし、解像度は他のチャンネルより25%低く、さらにチャンネルに切り替えてから映るのに40から90秒もかかる。AT&TはPEGチャンネルは通常のチャンネルとは異なる方法で伝送をしている。PEGチャンネルには専用のチャンネルは与えられずに、99チャンネルで全部のPEGチャンネルを送っている。AT&TはPEGを異なる方法で伝送している事は認めているが、これを差別している事は否定している。