Direct to Consumerサービスではライブラリーの数だけでなく、幅広いコンテンツが求められる。Disneyは子供/家族向けが多いコンテンツを補うために、Fox資産を買収しており、WarnerMediaとDiscoveryの合併もコンテンツのジャンルを広げることが目的である。これら新たな競合に対抗するためにAmazonは$84.5億でMGMを買収する。
競合のNetflixは今年は$170億をコンテンツに使う予定であり、$84.5億は大した金額ではない。それは、MGMが以前のような大きな映画会社ではなくなっているからだ。1995年ではMGMは19本の映画を配給し、$3.3億の興行収入があり、7位の映画スタジオであった。しかし、2010年に一回、破綻している。2019年では2つの映画を配給し、興行収入は$2314万で、20位に落ちている。2020年は1本しか配給出来なく、それも新作ではなく、1983年の「A Christmas Story」の再リリースであった。
MGMはWalmartのVuduとパートナーになり、Vudu向けのオリジナル番組の制作を始めていたが、Vuduは昨年にComcastに売られた。MGMは昨年12月に自社を売りに出し、Comcast、Apple等が関心を示したが、どちらも査定は$50億程度であった。$50億の会社を$85億で買収するより、その資金は新しいコンテンツ制作に使った方がいいとの意見もある。MGMを買収しても新作映画の放送権は他社との既存契約があり、すぐにAmazonの独占になる訳ではない。AmazonにとってのMGMの大きな魅力はライブラリーを一気に増やせることである。
MGM買収で、Amazonは4,000本の映画、17,200本のTV番組のライブラリーを得ることが出来る。ComcastにはUniversalのライブラリーがすでにあり、新作映画と「James Bond」等の有名作品以外ではMGMの古い映画には大した関心は無い。Appleはライブラリーが欲しいが、SVODのApple TV+の加入者を増やすにために過去の作品ではなく、新作の方を重視している。AmazonにはSVODのAmazon Prime Video以外に、AVODのIMDb TVがある。コネクテッドTVでの視聴が増える中、AVODの広告収入は重要になっている。IMDb TVの利用者は5500人と発表されている。Roku Channelは7000万人程度の利用者があり、最大のAVODサービスである。Tubiは4000万人、Pluto TVは3500万人なので、IMDb TVは第2位のサービスになる。
Prime VideoでのMGMの古い映画のインパクトは少ないであろうが、AVODでは名画チャンネル等で配信し、視聴を得られる。もう1つ大きなことは、MGMのライブラリーをAmazonが独占することが出来ることである。MGMは自社のOTTサービスが無いので、MGMのコンテンツは様々なAVODに頻繁にライセンスされてきた。例えば、Pluto TVはJames Bond映画専門のチャンネルを限定期間の配信をして、ポピュラーなチャンネルになっている。AmazonがMGMを買収したことで、MGMのコンテンツは徐々にAmazon独占となり、Amazonと競合する事業者は困ることになる。
また、MGMは有料チャンネルのEpixを持っており、これをAmazonはいかに利用するかも興味深い。EpixはHBO、Showtime、Starz等より新しく、マイナーである。しかし、コードカッティングが進んでいるとは言え、まだ60%以上の世帯は多チャンネルサービスに加入しており、事業者と配信契約を持っているチャンネルを持つことはAmazonに取り、魅了であろう。サービス名称をAmazon’s Epixに変え、無料化して、Prime Videoのオリジナル番組を放送するなど、Amazonの広告、プロモーションに使うことも可能である。
