CESでの大きな話題の1つはQuibiで、創立者のジェフリー・カッツェンバーグとメグ・ホイットマンがキーノート・スピーチを行った。Quibiが話題になっている理由は様々あるが、1つはサービスがモバイル・ファーストだと言う事である。以前はOTTビデオの視聴はモバイル端末が多かったが、クオリティーの高いコンテンツが増えることで、コネクテッドTVでの視聴が増えている。その中、あえてモバイル・ファーストのサービスを提供するQuibiは注目されている。カッツェンバーグ氏はNetflix、Disney+、HBO Max等はTVをベースに戦っているが、Quibiの狙いはスマートフォンであり、加熱しているストリーミングサービスの競争には無関係だと語っている。
Quibiは「Quick Bites」の略で、10分以下で楽しめるビデオを提供する。視聴デバイスとしては、モバイル端末以外がサポートされない可能性もあり、モバイル・ファースと言うより、「モバイル・オンリー」かも知れない。モバイル向けのビデオと言うと、YouTubeがあり、Facebook Watchもポピュラーになっている。また、過去にはモバイル・ファースのサービスとしてVerizonのGo90があった。Verizonは2015年に約$2億でIntelから買収した技術を使った技術でGo90を始めた。Verizonはそのコンテンツのために、AOLを$44億、Yahooを$45億で買収し、さらに元Huluのジェイソン・カイラーのVesselの買収、AwesomenessTVへの投資等、多額の金を使うが、成功せず、2018年にサービスは終了になっている。
Quibiとこれらのサービスの違いは、有料のSVODであることと、クオリティーの高いコンテンツを提供することである。料金は広告付きで$5、広告無しで$8ある。コンテンツ制作には$10億の予算があり、スピルバーグ監督等、ハリウッドの有名人を集めている。コンテンツの種類は3つある。1つは映画で、7から10分程度のエピソードに分けて制作されている。2つめはドキュメンタリー、あるいは台本なしの番組で、3つ目はニュース、スポーツハイライト等の「日常不可欠」なコンテンツであり、これらも1話、数分の短編である。Quibiからは3月6日の開始時点で、175の番組、8500話が配信される予定である。
Go90はその名前とは異なり、特に縦長の画面で見る事を意識したコンテンツ作りはしなかったが、Quibiは縦と横で見るのでは違う視点の映像を提供する「Turnstyle」と言う技術を採用している。画面も向きを変えると、視点が変わるだけでなく、ストーリーも変えることが出来る。番組だけでなく、広告も縦と横向けの2つのフォーマットで制作される。
数多くのSVODが登場しているが、Quibiは他のサービスとは全く異なる。カッツェンバーグ氏の言うようにNetflix等との競争にはならない。しかし、コンテンツを見る時間としては、YouTubeを含めた多くのサービスとの奪い合いになり、また、ビデオ・エンターテイメントに使う費用としてはNetflix等とも競合する。モバイル・オンリーであると言うユニークさで、成功をする事が出来るか注目されている。
