14ヶ月間に及ぶ、SinclairのTribune買収劇は破局で終了した。SinclairとTribuneの買収交渉契約の期日は8月9日で、同日までに話がまとまらなかった場合は、Tribuneは契約から立ち去る事が出来た。Sinclairは契約を継続する様に説得を続けたが、TribuneはSinclairに対する信頼を無くしており、買収契約を解消しただけでなく、契約違反でSinclairを告訴し、$10億の損害賠償を求めている。
トランプ大統領の大嫌いなCNNを持つWarnerMediaのAT&T買収とは異なり、保守的なSinclairのニュースは大統領のお気に入りで、この$39億でのTribune買収はスムーズに進むはずであった。39%以上の世帯リーチ率を持ってはいけないとの規則を破る問題も、パイFCC委員長がUHF局のリーチ率はVHF局の半分に計算すると言うアナログ放送時代の特例を復活させた事でクリア出来た。
残りの規制上の問題は同一地域での複数局の保有で、Sinclairは買収後に23局を売る事に合意した。これで、8月9日までにFCCと司法省の合意が出ると思われたが、売却契約に不審な点が見つかる。23局の内、2局を買う会社はSinclair会長が投資している会社で、契約では売約後もSinclairが局を運営する事になっている。名目上は別会社になるが、Sinclairの支配下にあることは変わらない。
騙されかけた事にパイ委員長は怒り、Sinclairの行為は違法の可能性があるとし、トランプ大統領の反対を押し切り、この件を行政法判事による審理に回すことを決めた。FCCに決定に対してトランプ大統領は「FCCがSinclair BroadcastによるTribune合併を認めないことは不公平で、悲しいことだ。国民に必要な保守派の声としてこの合併は素晴らしいことであった。遥かに規模が大きく、リベラルで、フェイクなニュースのNBCとComcastの合併が許可されているのに、Sinclairは出来ない。これは恥べきことだ。」とツイートしている。
さらに、司法省もSinclair等が行っているJoint Sales Agreementと呼ばれる他局との共同広告販売契約は独占禁止法に触れている可能性があり、調査をする可能性を指摘している。TribuneがSinclairとの買収契約を延長しても、すばやく許可が出る可能性は低くなり、最悪の場合は、SinclairはFCCと司法省に訴えられ、Tribuneもこれに巻き揉まれることになる。Tribuneは、Sinclairは最初から数局は手放すことを決めていたのにもかかわらず、司法省の要求には速やかに応じず、問題を長引かせただけでなく、違法の売却契約をする等の行為で買収を破綻させたとして、$10億の損害賠償を求めている。これに対して、SinclairもTribuneを告訴し、2社の仲は急速に冷えている。
