テレビ視聴媒体が放送からOTT(ブロードバンド)に移行をしているが、これは単なる媒体の変化だけではない。OTTのサービスの多くは広告無し、あるいは広告無しが選べるSVODであり、ビジネスモデルも変化をしている。広告無しのSVODの視聴が増えると共に、テレビ広告の市場は縮小する。
果たして、どの程度のテレビ広告市場をSVOD、特にNetflixが無くしているのかをnScreenMediaの記事(https://goo.gl/3td51i)は推定している。これによると、Netflixにより失われたテレビ広告の規模は$30億から$60億である。nScreenMediaはこれを下記の様に計算している。
Netflixは2017年初めに一日で1.25億時間のビデオを約1億人に配信していると発表している。一人平均で一日1.25時間、Netflixを見ている訳である。これをNetflixがテレビ放送から奪った時間とする。1時間の放送での平均広告時間は14分であるので、Netflix加入者が見るテレビ広告は、一日に30秒広告として35本少ないことになる。
広告の値段はCPM(1000視聴者)で、プライムタイムが$18、その他が$5である。ConvivaによるとコネクテッドTVの利用の45%はプライムタイムである。Netflix視聴者は1年で5,753本のプライムタイム広告、7,032本のその他の時間帯の広告を見ない事となる。一人平均で$135で、Netflix全体では$76億規模の広告を奪っている。
しかし、Netflixにより減った視聴が全て広告がある番組とは限らない。タイムシフト視聴で広告スキップしている、あるいはHBO等の広告無しのプレミアムチャンネルの視聴時間を奪っている可能性もある。これらが15%から20%とすると、Netflixが奪った広告価値は$60億程度になる。
nScreenMediaはもう1つ、より簡単な計算もしている。Hulu、そしてCBS All Accessの広告無しの料金はどちらも広告付きより$4高い。要するに、Hulu、CBS All Access共に広告価値は$4と見なしており、これにNetflixの加入者数をかけると年で$30億になる。
2つ目の計算の問題はHulu、CBS All Access共に広告付きでも広告時間は放送より短い事である。例えば、CBS All Accessでは45分前後の番組に4回の広告枠が入る。それぞれが2分程度であり、全体では8分となり、放送の半分である。CBS All Accessに放送と同じに14分の広告があれば、それを除くには倍の$8が必要となり、最初の計算と同じに$60億となる。2017年のテレビ広告の市場規模は$720億であったので、Netflixはその8%を減らした事になる。nScreenMediaの記事での計算はNetflixだけがベースである。広告無しのSVODにおけるNetflixの視聴シェアを50%と仮定すると、SVODはテレビ広告から15%前後を奪っている事になる。
SVODによりテレビ広告規模が減っているが、収入を増やすために広告を増やす事は出来ない。SVODが好まれている理由は広告が無いからであり、広告を増やす事は放送離れを加速させる事になる。NBCUniversalは2018年のシーズン(2018年秋開始)からプライムタイムで広告時間を10%減らし、全体の広告枠を20%削減する。これは、地上のNBCだけでなく、NBCUの全チャンネルで行われる。
広告が減る分、単価が増え、さらにより効率の高い広告を提供する事で、収入を維持する予定である。新しい試みの1つは、番組の最初と最後の広告枠をPremium Podとし、広告は30秒広告で2本のみろする。この枠ではAIを使って、番組の内容にマッチし、効果が高い広告を選ぶ。その他、NBCが予定している試みは:
- Primetime Bridge: プライムタイムの番組と番組をつなぐ広告
- Scripted Commercial Launch: 広告枠直前の場面と広告の内容をマッチさせる。例えば、コーヒーショップに入るシーンから広告枠が始まるのであれば、最初の広告はコーヒーの宣伝にする。
- Interactive Picture in Picture: 番組を中断しないで、広告を同時に流す
- Social Commercial: 広告にSNSからの投稿をリアルタイムで挿入する
- Show Within a Show: 広告枠に番組に関連したショートクリップをスポンサー付きで流す
NBCUの調査によると、これらの新しい広告フォーマットは視聴者のエンゲージメントを20%増やす効果がある。
