共和党下のFCCは大規模な放送局の統合を可能にした。アメリカでは1つの会社が保有する事が可能な放送局の規模は合計の世帯リーチ率で決まっている。現在ではこれは39%であるが、ループホールがあった。それは、UHF局に関してはリーチ率を半分として計算すると言う物である。アナログ放送ではUHFは電波が届きにくいことからこの例外が出来た。持っている放送局の合計世帯リーチ率が40%であっても、すべてがUHF局であれば、20%の計算になり、合法である。
しかし、地上波も多チャンネルサービスで見る世帯が多いアメリカでは、電波が実際に届くかより、ケーブルTV等の多チャンネルサービスでの再送信されるかの方が重要である。Ion Mediaはこのループホールを有効に使い、安いUHF局を買い集め、多チャンネルサービス事業者に再送信させることで、全米規模の放送網を作った。Ion Mediaのリーチ率は64.8%と高く、遥かに39%を超えているが、すべてUHF局である事から半分の32.4%と計算されていた。
UHF局のリーチ率を半分に計算する事に対する批判は、デジタル移行後にさらに高まった。デジタル放送ではUHFの方が有利であり、半分に計算する必要は無い。ウィーラー前FCC委員長は昨年にこのループホールを取り除いた。これにより、持っている局はVHFであっても、UHFであっても39%を超える事は禁止になった。
だが、この規制は長続きしなかった。パイ委員長は前委員長の決定を撤回し、UHFを半分に計算する事を再度可能にした。これにより、保有している局がすべてUHFであれば、実質最大78%のリーチ率が可能になる。Ion Mediaを例に取ると、ループホール無しでは同社のリーチ率は64.8%で39%を大きくと超えるが、ループホールが戻った事で32.4%の計算になり、まだ6.6%(UHFであれば13.2%)の余裕がある。
このループホールが戻る事で、大規模な放送局の統合が可能になる。昨年、Sinclair Broadcast GroupはTribune Mediaから放送局の買収を検討していた。しかし、ループホールが消えた事で、同社のリーチ率は38.6%となり、買収は不可能になった。ループホールが戻った事で、同社のリーチ率は24.3%になり、14.7%の余裕が出来、Tribuneの多くの局を取得する事が出来る。Sinclair、Nexstar等の放送局会社だけでなく、CBS、Fox、ABC、NBCの4大ネットワークも14%以上の余裕が出来き、大規模な買収が可能になっている。
| 主要放送局会社のリーチ率 | |||
| 放送局会社 | 実際のリーチ率 | ループホール適用後 | 余裕 |
| Ion Media | 64.8% | 32.4% | 6.6% |
| Univision | 44.1 | 23.2 | 15.8 |
| Tribune Media | 43.7 | 26.7 | 12.3 |
| Nexstar Media | 39.2 | 26.1 | 12.9 |
| Sinclair Broadcasting | 38.6 | 24.3 | 14.7 |
| CBS | 37.7 | 24.6 | 14.4 |
| Fox | 36.8 | 24.3 | 14.7 |
| NBC/Telemundo | 36.1 | 19.4 | 19.6 |
| Tegna | 31.3 | 26.3 | 12.7 |
| ABC | 22.4 | 20.7 | 18.3 |
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