Verizonの変身

通信事業者のVerizonは大きな変身を試みている。コンシューマ向けサービスでは光ファイバーへの注力をやめてモバイルを主体している。コンシューマ向けブロードバンドサービスのFiOSへの投資は2013年から殆どストップしている。ボストンで昨年からFiOSの敷設を始めているなど、幾つかの投資はまだあるが、基本的には拡張計画は無く、さらに、2016年にはテキサス、カリフォルニア、フロリダのFiOSサービスをFrontier Communicationに売っている。

大きな投資をしても有線サービスでは全国をカバーする事は不可能に近い。FiOSが利用可能な地域はニューイングランド地域以外では少ないのに対し、4Gはほぼ全米をカバーできている。コンシューマ向けでは光ファイバーからモバイルに戦略を切り替えることは当然である。セルラ電話により固定電話の加入者が減っている様にブロードバンドも有線からモバイルに移る可能性もある。Parks Associates社が行った調査では、固定ブロードバンドユーザの10%は12ヶ月以内に固定ブロードバンドを解約し、モバイルだけにする事を考えている。


FiOSはFiberforall.org(ブルーは2016年以前にFrontierに売った地域)。4G LTEはVerizon.com

Verizonはコンシューマ向けで光ファイバーから撤退する以外に、ビジネス向けのサービスも売却し始めている。2016年12月にVerizonは29(米国内は24)のデータセンターをEquinixに$36億で売った。さらに、クラウド事業の売却も予定している。クラウドサービスはAmazon、Google、Microsoftに差を付けられているが、エンタープライズ向けでは重要なデータセンターとクラウドサービス事業を切る捨てる事は大きな決断である。

代わりにVerizonが買っているのはAOLとYahooである。2015年に$44億でAOLを買収したのに続き、Yahooを$4.5億で買収する。Yahoo買収金額は$48.3億であったが、買収契約の直後にYahooの利用者データ流出が明らかになり、2月に$3.5億の値引きで話が決まった。AOLとYahooの買収により、Verizonはインターネットでの広告とコンテンツ事業の大手になる。

しかし、AOLとYahooの資産を活かすはずのOTTサービスのGo90は成功していない。Go90はVerizonがIntelから$2億で購入したOTTプラットフォームのOnCueをベースにスタートしたが、途中でVerizon Digital Media Service(VDAM)に変わった。プラットフォームでドタバタしただけでなく、販売、コンテンツ調達でも戦略が変わり、OTT事業に戸惑っている様である。AOLとYahooは良い資産であるが、どちらもブランドとしては古くなっており、資産を有効に使う新たなブランドを作る(あるいは買う)必要がある。しかし、新しい器の用意に時間がかかるとAOLとYahooのコンテンツも広告技術も陳腐化してしまう恐れがある。

Verizonはクラウド・サービスを提供しているが、自らはクラウド化に遅れている。自分で使いこなすことが出来ない物を売れる訳は無く、クラウド事業を手放す事は仕方がないとの厳しい指摘をするアナリストもいる。Go90も同様である。OTTサービスを始めているが、VerizonとしてOTTのコンセプトを信じ切っていない様子がある。