今回の大統領選が大きな話題になった理由の一つにトランプ次期大統領とメディアの喧嘩があった。CNN、Fox News等のニュースチャンネルに取り、今回の大統領選は最高であった。話題が多く、昨年から視聴者数を増やした。その話題の多くはトランプ氏の過激な発言であり、さらなる刺激的な発言を求め、メディアは彼を挑発してきた。トランプ氏はその挑戦に応え、メディアとの喧嘩になる。リベラルなCNNとの争いは当然だが、保守的なFox Newsとも喧嘩し、トランプ氏は2015年9月に1週間のFox Newsへの登場をボイコットし、2016年1月にはFox News主催の共和党候補討論にも参加をしなかった。
視聴率には良いかもしれないが、トランプ次期大統領に不誠実だと批判されているメディアに取り、難しい4年間になるかも知れない。
NABのゴードン・スミス会長は、「Flyover America(飛行機の窓から見るだけの地域、アメリカの田舎の意味)はメッセージを送った。その多くは、マスメディアに対してである。彼らは既存勢力から無視され ているか、あるいは嫌われ ている。アメリカのマスメディアは真剣に自己評価し、アメリカ全体を含め、自分達の声だけを頼りにしないようにする方法を考える機会にするべきだ」と発言し、和解を求めているが、メディアとトランプ氏の喧嘩は続いている。
歴代の大統領で最もメディアとの仲が悪かったのはニクソン氏である。だが、ニクソン大統領時代は新聞もテレビも業界的に強く、大統領に嫌われていても大きなダメージは無かった。ニクソン大統領としても、メディアをバイパスする事は出来なかった。しかし、新聞購読者、TV視聴者共に減少している現在、大統領に嫌われるとメディア業界は困った事になる。メディア不信のトランプ氏は大統領選の最後の1、2週間はテレビではなく、Facebookのビデオライブ配信でメッセージを発信していた。現在も、メッセージを伝えるのにはTwitterとFacebookを使い配信し、マスメディアは嫌いは続いている。
これは報道だけでなく、メディア業界にも影響を与える。次期大統領はAT&TのTime Warner買収には反対と言うだけでなく、ComcastとNBCUniversalまでも解体すると言っている。共和党政権では大型買収がし易いはずであるが、大統領がメディア業界嫌いでは話が違ってくる。
本当にAT&TのよるTime Warner買収を拒否するかは分からないが、FCCに大きな変化が訪れる事は確実である。次期FCC委員長として現職委員で共和党のAjit Paiが有望視されているが、大きな変化を求めているトランプ氏はまったく新しい人材を使う可能性も高い。
誰がFCC委員長になっても、STB規制の動きは消える事は確実だ。新たなSTBオープン化の規制はWheeler委員長が残したたかったレガシーであり、議会、業界のサポートは少ない。規制は通信法が求めていることなので、その議論は続くが、急速な決定は無いであろう。
Wheeler委員長の大きな事業であったネットワーク中立性規制も反転される可能性がある。法廷はFCCにはブロードバンド事業者を規制する権限は無いと判断したのに対して、FCCはブロードバンド事業者をコモンキャリアと再定義する事で規制を維持している。このやり方にに対する批判も多く、規制緩和を求めるトランプ次期大統領に取り括弧なターゲットである。次期大統領はFCCのトランジションチームのアドバイザーを2人任命しているが、両者ともアンチ・ネットワーク中立性である。
現在進行中のテレビ周波数帯域の競売にも影響を与える。競売は12月5日から3ラウンド目のフォワードオークションが始まる。126 MHzが対象であった第1ラウンドは放送事業者が求める$860億に達しなかった。第2ラウンド(114MHz)も最低価格の550億には達しなかった。競売帯域を108 MHzに減らした第3ラウンドの最低価格は$400億である。価格はかなり下がっており、第4ラウンドで$300億を割り、競売が成立するとの予想が多い。しかし、トランプ政権は放送事業者に対する規制を緩和し、1社が同じ地域で複数の放送局を持つ事を可能にすると予想されている。それが可能になれば、大手放送事業者は中小事業者を買収する事が可能になり、周波数帯域を通信事業者に売ること無く、放送業界に残したままで金を儲ける方法もあり、競売は成立しない可能性も出ている。
