YouTubeはユーザ投稿ビデオでスタートし、利用者を急速に増やしたが、著作権に触れるコンテンツも多く、コンテンツホルダーとの問題があった。利用者は増えても違法コンテンツでは広告を売る事は出来ず、収入にはならない。その後、違法性の無いコンテンツが増えて行くが、面白いビデオであってもアマチュアの品質では広告価値は低い。
YouTubeはクオリティーの高いビデオを増やすためにYouTubeのクリエーター(YouTuber)達が使えるスタジオをニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン等に作り、2011年には$2億をOriginal Channel Initiative として100以上のクリエーターに投資した。YouTubeはこれらのクリエーター達のチャンネルを有料化する計画であったが、十分な加入者を得ることは出来ず、2013年には有料チャンネルは中止になった。
有料チャンネル化は成功しなかったが、YouTubeによるコンテンツへの投資によりビデオの品質は良くなり、広告収入は増え、プロのYouTuberが登場する。PewDiePie(本名Felix Arvid Ulf Kjellberg)は、最も著名なYouTuberで、2016年のTimes誌の「World’s Top 100 Most Influential People」に入っている。
MCN(Multi-Channel Network)もプロのYouTuberの登場に大きな貢献をした。MCNはそれまで一人でやってきたクリエイター達を集め、資源の提供、競合プロジェクト、クロスプロモーション等を行うことで視聴者を増やし、広告収入を伸ばした。プロのYouTuber、それにMCNによりYouTubeはアマチュアのビデオ投稿サイトからプロ、セミプロのビデオ配信のプラットフォームへと変化をして行く。これよりYouTubeの広告収入も増えるが、インターネットビデオ広告の規模はまだインターネット広告全体の7%と少ない。
新たな収入を求め、YouTubeは2015年10月に月$9.99のYouTube Redを開始する。YouTube Redは広告が無くななり、オリジナルコンテンツが加わり、それにGoogleがそれまで$9.99で提供してきた音楽のサブスクリプション・サービスのGoogle Play Musicが含まれる。YouTube Redの独占コンテンツとして、PewDiePieの「Scare Pew Die Pie」、MCNのAwesomenessTVの「Dance Camp」等が提供開始されている。
しかし、オリジナルコンテンツとしてMCNを頼り続けることは出来ない。例えば、AwesomenessTVはDreamWorks、Hearst、それにVerizonの3社、FullscreenはOtter Media(AT&TとChernin Group)、Maker StudioはDisneyが買収しており、それぞれ独自の配信サービスを始めようとしている。Fullscreenはすでに月額$5のSVODを開始し、YouTube Redの競合になっている。
これを受け、YouTube RedはこれまでのYouTubeビデオとは異なるタイプのオリジナル番組の制作を始めている。「Single by 30」はその1つである。YouTubeでポピュラーなタレントを使っているが、「Single by 30」はショートコンテンツでは無く、30分のコメディードラマである。YouTubeのこれまでのビデオとは異なり、Hulu、Netflix等は提供するビデオに近い。
YouTube Redに月額$10を払う層は、無料のYouTubeを見ている層とは異なり、コンテンツも異なる方向に進む事は当然であるが、Netflix、Amazon、Huluに競合する事は容易ではない。しかし、YouTubeは膨大なベースを持っている事が強みである。Credit Suisseは今後5年間で無料利用者の3%を有料加入者にコンバートすると予想している。同社は2016年末時点でYouTube Redの加入者は570万人になり、2022年には6100万人に達すると予想している。
