放送法の改正

衛星事業者に地上波再送信を許可するSatellite Television Extension and Localism Act(STELA)を更新する為の下院の法案STELAR(STELA Authorization Act)には、ケーブルTV業界でのCableCARD規制の廃止が含まれている(2014年8月参照)。STELARはすでに下院を通過しており、上院でもSatellite Television Access and Viewer Rights Act(STAVRA)のが通過した。

STARVAの最初の草稿にはCableCARD廃止よりも大きなインパクトがある項目が含まれていた。それは、既存の多チャンネルサービスにおける地上波の再送信契約を廃止する物である。これは、再送信料は多チャネル事業者が支払う物ではなく、加入者が地上波局に対して支払う物とする案で、地上波はオプションとなり、加入者は地上波再送信をサービスに含めなくする事も出来る。地上波再送信をHBO等の有料チャンネルと同等に扱う事になる。地上波ネットワーク、それにNABは当然ながら猛反対をし、この項目は消えた。議会は今年の末までにSTELAの更新をする必要性があるが、この項目が含まれた場合、議論は長引くことになる。

上院を通過したSTAVRAにも、CableCARD廃止の項目は含まれているが、下院のSTELARとは同一の法案はないので、今後両院で調整し、同じ法案を通過させる必要がある。Ed Markey議員、それにPublic Knowledge、Consumer Union、Free Press等の消費者擁護団体は、CableCARD規制を廃止する以前に、FCCに対してCableCARDに代わる全多チャンネルサービス共通の規格を作る事を求める項目を含める事を求めている。

FCC側でも放送法に影響をする2つの動きがある。1つはスポーツのブラックアウト規制の排除である。FCCの放送規制には地元のスポーツチームのホーム試合のチケットが十分に売れない場合、地元放送局に対して中継のブラックアウトする項目がある。スポーツリーグの保護であり、FCCがなぜNFL等を守る必要があるのかに対する批判があった。この規則が無くてもNFL等は契約内で、ブラックアウトを求める事は可能である。

もう1つFCCが議論が始まっているのは多チャンネル事業者(Multichannel Video Programming Distributor、MVPD)の定義書き換えである。現在の定義では多チャンネル事業者はコンテンツと伝送路の両方をコントロールしている事業者であり、番組の配信権を持ち、さらにケーブル、光、衛星等伝送の回線の権利も持つのがMVPDである。FCCはこれに、リニア配信のOTT事業者も含める事を検討している。Netflix等のオンデマンドでのOTTは対象にならないが、Aereoの様にリニア配信を行う事業者は多チャンネル事業者として定義される。これにより、OTTでリニア配信を行う事業者にはケーブルTV事業者と同様なコンテンツ事業者との交渉権をが与えられ、Aereoが行ったようなサービスが合法で行える事になる。しかし、それと同時にMust Carryの義務もあるので、Must Carryを求める放送局を再送信しなければ無くなる。

この背景にSky Angelの件がある。Sky Angelは衛星を使い主にキリスト教関連のプログラミングを提供していた。同社は2008年から配信をOTTに切り替えた。Sky Angelにプログラミングを提供していたDiscover Channelは2010年に配信を拒否した。Sky AngelはFCCに訴えたが、FCCはSky Angelは自社で伝送回線を持たず、MVPDの定義に当てはまらないので、Discoveryに対して配信を求める事は出来ないと判断をした。