2023年の予想

放送の衰退は2023年に加速をするであろう。既存の多チャンネルサービスへの加入者は2023年末には6000万世帯程度に減り、世帯普及率は50%を割る。多チャンネルサービスに加入する理由の1つはHBO等の有料チャンネルであったが、Direct-to-Consumer化により多チャンネルサービスに加入することなく視聴が出来る。ニュースもFASTの登場で多チャンネルサービスに加入する理由ではなくなっている。スポーツが残っているが、これも多チャンネルサービスへの加入無しでも見ることが可能になっている。アメリカのプロ・サッカーのMLSはESPNからApple TV+に移り、NFLの試合もNFL+とNFL Sunday Ticketで多チャンネルサービスを使わずに視聴が可能になる。

vMVPDは200~300万世帯の増加が予測出来るが、それは既存の多チャンネルサービスが失う世帯の半分以下である。vMVPDは既存の多チャンネルサービスとは違い、契約期間が無いので、チャーンが多い。見たいスポーツのシーズンが終わると解約する人も多く、加入者は安定していない。スポーツのDirect-to-Consumer化はvMVPDに大きなインパクトを与えていくであろう。

地上波での視聴はコードカッティングにより、増えてはいるが2000万世帯程度である。ATSC 3.0での放送が始まっているが、ほとんどの地域では1つの局が同じ地域の複数局の放送を再配信しており、ATSC 3.0の特徴である4Kでの放送等は無い。ATSC 3.0での視聴が増えるためには、各地域でATSC 3.0で放送する局が増える必要がある。しかし、FASTの急成長は地上波を視聴する理由を減らしている。地上波での視聴は2023年ではほとんど成長しない可能性がある。

SVOD(広告付きを含む)への加入世帯は飽和しており、増えることは無いであろう。景気の後退により、減少する可能性もある。しかし、世帯が加入しているSVODサービス数は減少をしない。広告付きサービスの増加により、これまでと同じ費用で加入出来るサービス数は増えている。多チャンネルサービスの衰退により、広告主は広告付きSVODに注目している。SVOD事業者が広告で得る売上は広告無しとの差額よりも大きく、事業者は広告付きサービスの加入者を増やすことにより力を入れていくことになる。

FASTの利用者は2022年に大きくと増えた。現在、FASTを影響している主要なコンテンツ事業者はFox(Tubi)、Paramount Global(Pluto TV)、Comcast(PeacockとXumo Play)、Amazon(Freevee)で、その他CTV事業者のRoku Channel、Samsung TV Plus、LG Channel Plus、地上波局会社のSTIRR(Sinclair)、VUit(Gray)、Local Now(Allen Media)等がある。大手コンテンツ事業者でFASTを持たないのはNetflix、Disney、Warner Bros. Discovery(WBD)であるが、WBDは2023年にはFASTに参入する予定である。広告収入が重要になることでNetflixとDisneyのFAST参入も十分に考えられる。FASTへの大手の参入は多チャンネルサービス、地上波だけでなく、vMVPDにも大きな影響を与え、2023年の最大の破壊的サービスになるかも知れない。