HBO Maxは有料チャンネルのHBO、その他のWarnerMedia(現在のWarner Bros. Discovery)のコンテンツをDirect-to-Consumer(DTC)として配信する目的で2020年5月に開始した。スタート時にWarnerMediaのCEOとして就任した元Hulu CEOのジェイソン・キラールはDTCのコンセプトを忠実であった。HBO MaxにはTV番組だけでなく、Warner Brothersの映画もあり、販売/配信には第三者を使わずに、完全に消費者に直接的に提供するサービスであった。だが、Discoveryとの合併で会社はWarner Bros. Discovery(WBD)となり、CEOに就任した元Discoveryのデイビッド・ザスラフはキラールのHBO Maxを崩し、作り直しを始めている。
HBO Maxの前身のHBO NowはWarnerMediaが販売する以外にAmazon Prime VideoのAmazon Channelとしても提供されていた。Amazon ChannelはAmazonが配信と販売をしており、DTCではない。コンテンツはAWS上にあり、配信データはAmazonが持ち、決済もAmazonが行う。
当時のHBO Nowには1500万の加入者おり、その500万人はAmazon Channelでの加入者であった。HBO MaxをDTCにするためにはAmazon Channelとの契約を解消することになり、一時的にでも500万の加入者を失う事になる。しかし、DTCとして提供するために、キラールはAmazon との契約を解消した。WarnerMediaはAmazonだけでなく、Rokuとの契約でも揉め、トップ2のコネクテッドTVのアプリ無しでのスタートを余儀なくされたが、DTC化することを重視した。
しかし、12月にWBDはHBO MaxがAmazon Channelに戻ることを発表した。Discovery+はAmazon Channelを使って配信をしており、HBO MaxとDiscovery+が統合して出来る新しいサービス(サービス名はMaxと噂されている)をAmazon Channelから取り除くのではなく、Amazonを使った販売を続けるためにHBO MaxをAmazon Channelに戻す決定をした。Amazon Channelを使わずに、データをずべて自分で持ち、コミッションも払わないDTCが理想かも知れないが、多額の負債を抱えているWBDはAmazonの販売力が大切である。
HBO MaxはAmazon Channelに戻るだけでなく、「West World」、「The Nevers」等のHBO番組をHBO Maxから外す決定をした。WBDはこれら番組はHBO Maxで配信するより、他のSVODサービスで配信した方が収入になると語っている。有料チャンネルのHBOに加入していた人はこれらの番組をすでに見ているので、視聴者数は少ないかもしれない。だが、DTCサービスであれば、自社の主要なコンテンツはライブラリーにあるべきである。しかし、HBO Maxでは配信せずに、独占配信の契約とした方が高い契約料金を得ることが出来る。
HBO MaxとDiscovery+が統合して出来る新しいサービスにはWarnerMedia系のコンテンツがさらに減ることが予想されている。Discoveryのドキュメンタリー、あるいはリアリティーの番組の方が制作費用は少ない。制作費が高いWarnerMedia系のコンテンツは競合のSVODサービスにライセンスすることを含め、最大の収入を得られるために使われ、Discovery系のコンテンツが新しいサービスの主体になる可能性がある。
