これまでにDishとDirecTV合併の噂は何度も出ている。Dishの会長のチャールス・エルゲンは2社の合併はすぐか、10年後のことか分からないが、避けられないことだと言い続けている。しかし、AT&TのDirecTV買収で合併の可能性は低くなっていた。同業のDishとDirecTVの合併はただでさえ司法省の許可を得ることは困難であり、それに通信大手のAT&Tが加わることで、許可が降りる可能性はゼロに等しい。また、AT&Tが競合のDirecTVを買収しただけでなく、コンテンツ事業者のWarnerMediaも手に入れたことでDishはAT&Tを敵視し、最近までHBOの提供を拒否していた。
しかし、DirecTVが別会社になったことで、合併の噂が再燃している。DirecTVがAT&Tの一部ではなくなったことで、合併が許可される可能性は増した。また、Dish、DirecTV共に加入者を失っており、独占禁止法に触れる可能性も減っている。DirecTVの70%はAT&Tが持っており、合併にはAT&Tの協力も必要になるが、DishとAT&Tは最近、仲直りしている。DishはAT&TとMVNO契約を結び、より強力なモバイル分野での協力も検討している。HBOをめぐる喧嘩もやめ、Dishは2年ぶりにHBOの提供を開始している。
合併の可能性が前進したが、合併をしても加入者の減少が止まる訳ではなく、さらに別の大きな問題もある。DirecTV、Dish共、使っている衛星の寿命が終わりに近づいている。MoffettNathansonによると、Dishは11個の衛星を使っているが、その内の9個は打ち上げてから10年以上が経っている。放送衛星の寿命は約15年であり、Dishは5年以内に多くの衛星を失う可能性がある。DirecTVの状況も同様である。
2社が合併することで保有する衛星の数は増えるが、利用期限が終わりに近い衛星の数が増えても問題の解決にはならない。また、使える衛星の数が増えたとしても、2社のSTBの互換性は無いので、衛星を共有をすることは出来ない。新たに衛星を打ち上げるにしても、多チャンネルサービスへの加入者が減っている中、投資効果があるかは疑問である。Dishは衛星放送からモバイル通信事業に移行をしようとしている。衛星放送事業へは新たな投資を行わず、利用者が無くなるまで続け、後は通信に専念するのであろう。DirecTVを手に入れれば、衛星放送事業を延命させることが出来、さらに周波数帯域の利用権利も得られる。しかし、すぐに行う必要性は無く、DirecTVがさらに加入者を失い、価値が下がるのを待つであろう。
