WebTunerは新しいブロードバンドベースの多チャンネルサービスもモデルを考えている。IntelのOnCue、あるいはDISHが計画中のバーチャルケーブルTVのように第3者のブロードバンドサービスを使ったOTTではなく、ブロードバンド事業者に対して多チャンネル事業をターンキーで提供する「バーチャル・ヘッドエンド」である。WebTunerはリニアチャンネル、VODのサービスの提供に必要なプラットフォーム、UI等をクラウド上で提供する他、サービスの視聴に必要なインターネットSTBまですべてを提供する。ブロードバンド事業者はWebTunerと契約する事で、すぐに高度な多チャンネルサービスを提供する事が出来る。Comcastが中小ケーブルTV事業者に提供しているHITS(Headend-in-the-Sky)と似たようなコンセプトである。
WebTunerと同じようなサービスを計画している会社としてLayer3もある。これらの会社は中小ケーブルTV事業者、あるいは中小電話事業者に対して高度な多チャンネルサービスを安く、提供するソリューションを提供しようとしている。
アメリカに数多くの小規模なケーブルTVと電話事業者が存在する。これら事業者はブロードバンドを提供していても高度な多チャンネルサービスを提供する事が出来ていない。高度な多チャンネルサービスを提供するには、先端の技術ノウハウが求められ、小規模な事業者に取り大きな投資になる。TiVoを採用する中小ケーブルTV事業者が増えている理由がここにある。TiVoを提供するだけで、使いやすいUI、高性能なEPG、DVR、YouTube、さらにはNetflixまで、素早く提供をする事が出来る。しかし、TiVoを使うにしても、基本的なケーブルTVサービスを提供する設備が必要とされる事は変わらない。WebTuner、Layer3は、IPTVサービスのラストマイルの回線以外はすべてを提供する。
WebTuner等のサービスはComcast、Charter、Cox等の大手事業者が採用する物ではなく、必然的に市場の規模は限られる。対象となる事業者の加入者は少ないので、多くの数の事業者と契約が出来ないとビジネスにならない。DISHは一時、小規模なIPTV事業者に対して、衛星でコンテンツ配信をするサービスを行っていたが、利用する事業者数が少なく、中止した。また、WebTuner、Layer3等の構想に対する関心が高ければ、Comcastが出てくる可能性がある。ComcastはそのX1サービスをクラウド事業として、HITSの様に中小のケーブルTV事業者に提供する事を考えている。Comcastは自社向けのサービスの為にコンテンツ、サーバーとネットワークは持っており、サービスを利用したい事業者は、Comcastのバックボーンを使い、RDK対応のSTBを導入すれば、簡単に高度なサービスが導入出来る。Comcastがこの様なサービスを提供した場合の優位性はコンテンツ契約である。Comcastはすでに主要なチャンネルとの契約はあり、サービスを利用する事業者向けに契約を拡張する事が出来る。
