FCCは5対0で、ケーブルTV事業者に対する地上波再送信時の暗号化禁止規制を解除した。これまで、ケーブルTV事業が地上波局の再送信を行う際、その信号を暗号化する事は禁止されていた。これにより、地上波だけの視聴であれば、STBを使わずに放送を見る事が出来た。アナログケーブルであれば、NTSCチューナのテレビ、デジタルケーブルでもクリアQAMチューナ内蔵のテレビであれば、STB無しで地上波再送信は見ることが出来る。
暗号化はされていないので、不法にケーブル網にテレビを繋げば、簡単に地上波を見ることが出来る。地上波の再送信は義務(Must Carry)に基づき、ケーブルTV事業者に無償で提供されてきた時代では、地上波が契約無しで見られてもケーブルTV事業者への損害は大した事ではなかった。だが、現在では主要の地上波局は、多チャンネル事業者に対して再送信料を請求している。ケーブルTV事業者に取り、地上波は有料なコンテンツであり、不法での視聴は損害になる。
ケーブルTV事業者は地上波も暗号化して放送出来るように規制改正を求めていた。地上波再送信を含めた全チャンネルを暗号化する事で、違法のアクセスを減らすだけでなく、サブスクライバー管理が簡単になる。全チャンネルを暗号化する事で、STB(あるいは、CableCard)無しではケーブルTVの放送は視聴不可能になる。サービスの導入の際、STB(あるいはCableCard)を配達し、セルフインストールが可能になる。解約の場合は、加入者に対してSTBを返還させれば良く、現在の様にその家庭に行き、STBを外し、ケーブルに信号遮断のフィルターを取り付ける必要は無くなる。
新しい規制では、ケーブルTV事業者が地上波再送信の暗号化をした場合、既存の加入者に対して無料で地上波再送信の暗号を解除するSTBを提供しなければならない。現在、地上波再送信のみのベーシックサービスだけに加入している世帯に対しては、暗号化開始から2年はSTBを無料で提供する義務がある。ベーシック以上のサービスに加入し、すでにSTBを使っている世帯でも、2台目以降のテレビでSTB無しで地上波放送を見ていた場合、そのテレビに対して1年間無料でSTBを提供しなければならない。
この規制緩和に対しての最大の反対は、Boxeeから出ていた。Boxeeは、クリアQAMチューナが接続可能なインターネットビデオ向けSTBを売っており、暗号化禁止規制が解除になる事で、これら製品が利用不可能になると反対をして来た。ケーブルTV事業者を代表するNCTA(National Cable Telecommunications Association)は、地上波はアンテナを取り付ければ見ることが可能であり、Boxeeの異議は見当違いだと反論した。BoxeeのSTBは普及をしてている訳では無く、大きなインパクトのある意見では無い。FCCはすでに、Cablevisionがフルデジタル化をする際、ベーシックパッページのみの世帯にもSTBを無料で提供する事で、暗号化を許可をしており、規制解除は目前であった。
しかし、Comcast、Time Warner Cable、Cablevision、Cox、Charter、Bright Houseの大手6社(合計で約86%のシェアを持つ)は、Boxeeと和解し、FCCに対して、Boxee等の市販されているIPベースのデバイス向けに、暗号化無しで地上波再送信を提供する方法を開発する事を約束した。この条件は、新しいFCCの規制に含まれており、3年間有効となっているが、2年後にFCCがその内容を見直しをする事が出来る。
なぜ、Comcast等はわざわざBoxeeと和解をしたか? ケーブルTV事業者は、すでに家庭内のタブレット等のIPデバイスに対してWiFiでチャンネルをサイマルキャストしているか、その様なサービスをテスト中であり、Boxeeの要求を満たす事は特別に困難ではない。ケーブルTV事業者は、自らがSTBを提供するサービスモデルから、加入者が持つIPベースのデバイスにサービスを提供するモデルにスイッチをしようとしている。すでに多くの事業者は、QAMとIPの両立化を進めており、これを機にIPベースでの配信方法の業界規格を作ることは無駄でない。しかし、それ以上に大きな理由はAllVidへの対策である。FCCは、CableCardに代わる多チャンネルサービスとSTBの切り離しを進めることを目的とした新しい施策を検討している。FCCの案では、多チャンネル事業者がそのサービスを家庭内で配信する為の共通仕様の方式に変換するゲートウェイを提供し、テレビにはその配信仕様を受ける仕組みが内蔵されることになる。ケーブルTV事業者は、AllVidがCableCardの様な困難で、高価な規制になることを恐れている。FCCがAllVidの規制作りを始める前に、STB以外の市販されるデバイスでも、ケーブルTVサービスを得る事を可能にする方法を実施することで、AllVidへの動きを封じようしている。
