著名な映画プロデューサーのジェフリー・カッツェンバーグは昨年末にモバイル端末向けのショートビデオのストリーミング・サービスのQuibiの計画を発表した。Disneyで成功し、その後DreamWorks SKGを設立したカッツェンバーグの新しいベンチャーであり、さらにHPのCEOであった、メグ・ホイットマンがCEOとして雇われた事でQuibiは大きな話題となり、Disney、NBCUniversal、Sony、Viacom、Liberty Global、AT&TのWarnerMedia等から$11億近い投資を得た。
Quibiは$10億のコンテンツ予算でスタートし、コンテンツ制作者としてスティーヴン・スピルバーグ、ジェイソン・ブラム等が契約している。スピルバーグのホラー・シリーズの「Spielberg After Dark」はその名の通りに、暗くなってからしてしか視聴することが出来なくなっている(あるいは、スマートフォンの時間を操作する)。初年度には7000タイトルが制作される予定である。コンテンツ予算が大きいだけでなく、初年度のマーケティングの予算も$4.7億と贅沢である。
QuibiはQuick Bitesの略から来ており、コンセプトは1エピソードが5~10分程度の短編で構成されるシリーズ物の配信である。1回で完結のショートビデオではなく、シリーズ物を週に1話、配信していく。料金は広告付きで月額$5で、広告無しは$8になる。各ビデオの前に6秒、10秒、あるいは15秒の広告が挿入される予定で、すでに$1億の広告が売れている。
話題性は高く、スタートする来年4月には多くの人が加入するであろうが、果たして長期的に成功出来るできるであろうか。時間ある時にちょっと見ることが出来る、スナック的な短編ビデオに大きなデマンドがある事はYouTubeで明らかである。問題は有料化である。YouTubeは様々な形で有料化を試したが、成功をしていない。Quibiのコンテンツは著名映画監督が制作する物で、YouTubeのビデオとはレベルが違うが、それだけで有料化が成功する保証は無い。1話が10分以下であれば、見続けるシリーズが最低でも5シリーズは無いと、$5の価値は無いであろう。
コンテンツの質からすると比較すべきはYouTubeでは無く、Netflix等のSVODサービスかも知れない。Netflixとの比較にになると、最初の疑問は、ビンジ・ウィッチングが好まれる中、週1回の配信が受けいられるかである。Quibiへの加入により、Netflixをやめる事は無いであろうから、2つ目以降のサービスの座をAmazon、Hulu、Disney+、WarnerMedia/HBO等と争う事になる。コンセプトは既存のSVODとは違うかも知れないが、視聴時間とエンターテインメント予算上では競合する。
QuibiはMobile Firstと言われているが、サポートされるデバイスはスマートフォンだけで、Mobile Onlyかも知れない。利用可能なデバイスがスマートフォンだけであれば、それがQuibiの最大の問題かも知れない。オンラインビデオはスマートフォンで視聴する物であったのは過去であり、現在ではオンラインビデオの再生時間の半分以上はコネクテッドTVになっている。コネクテッドTVに対応しないことは間違いかも知れない。しかし、コネクテッドTVを対象デバイスに含めるとさらにNetflix等との競争になる。
