FCCの提案を受け、NBC Universal、ION、Telemundo、それに非営利放送局の協会、Association of Public Television Stationsのメンバー局が中心となり、アナログ停波のテストを全米の主要な地域で行う。このASO(Analog Shut-Off)の最初のテストは10月28日の午後5:59から6:01まで行われた。これに続き、1分間の停波が12月2日にワシントンDCとロサンジェルスで行われ、2つの30分の停波が12月3日にハートフォード(コネチカット)で行われれる。その後、サンフランシスコ、フィラデルフィア等の地域でも同様のテストが実施される。多チャンネル放送での再送信の殆どはデジタル信号を受信をして行われているので、これらアナログ停波の影響はほぼ無く、ASOテストでTV番組が視聴出来なるのはアナログTVで、アナログ放送を直接受信している世帯である。ASOテストは本当の「アナログ停波」では無く、アナログ放送では「停波」の時間帯にはデジタル移行に対応方法に関するメッセージが放送される。
同様に、2月17日以降もアナログを完全に停波するのではなく、アナログ停波対応に関するメッセージを流す事をFCC委員のマイクル・コップス氏は提案をしている。9月8日に先行してアナログ停波を行ったウィルミントン市では、9月30日までデジタル移行に関するメッセージを流していた。コップス氏はウィルミントンでのアナログ停波に関して、FCCが受けた電話の80%はそのメッセージを見ての物で、その効果は高いと語っている。マーチン委員長も、幾つかの局でアナログ停波後も公共メッセージを流すことは賛成だが、放送局に対してこのメッセージを放送する事を要求する権限がFCCにあるかを疑問視している。
そのFCCのマーチン委員長はNTIAが管理するDTVコンバーター購入のクーポン・プログラムの15億ドルの予算がアナログ停波の前に不足する可能性があるとの書面を下院エネルギー/通商委員ののディンゲル委員長と電気通信/インターネット小委員会のマーキー委員長宛に送った。NTIAはプログラム運営資金が不足する可能性を指摘し(2008年10月号「ウィルミントン市がアナログ停波を完了」参照)、議会は運営資金を2000万ドルまで増やすことを認めた。しかし、マーチン委員長は運営資金だけでなく、クーポン自体の予算が無くなる事を懸念している。書面の中で、マーチン委員長は予算が不足する可能性のあるシナリオを幾つか指摘している。例えば、先行してアナログ停波を行ったウィルミントン市の地上波だけを直接受信している世帯数のNTIA推定は13,759であったが、実際にNTIAにクーポンの申し込みが有った同地域の世帯で、地上波のみと答えた世帯は19,187で、推定よりかなり多かった。
アナログ停波の大きな問題は、どの程度の数の世帯とテレビがその影響を受けるか、はっきりしていない事である。Nielsenの推定では現時点で、アナログ停波が行われた場合、TVが全く受信出来なくなる世帯は960万あり、さらに1260万の世帯に最低1台のケーブルTV、あるはDBSに接続されていないアナログTVがある。アナログ停波の準備が出来ていない世帯は10月1日では、7.7%となっている。地域別ではヒューストンが最も準備の出来ていない地域で、9月での未対応率は15.8%であった。
DTVクーポンのプログラムの予算が足りるかは、どの程度の世帯がDTVコンバーターを購入するかによる。調査会社のABI Researchが行った1,002の世帯に対する調査では未対応のTVセットを持つ世帯の70%はDTVコンバーターの購入を予定し、10%は多チャンネルサービスへの加入を考えている。残り、20%の世帯はそのままで、アナログTVを破棄する事を予定している。しかし、前記のNielsenの調査ではこれとはかなり違う結果が出ている。Nielsenが調査した、最近にアナログ停波に対応した世帯の38%は新しいTVを購入、37%はケーブルTV、あるいはDBSに加入、25%はDTVコンバータを購入したと答えている。
37%が多チャンネルサービスに新たに加入する事で、アナログ停波に対応していると言うことは多チャンネル事業者に取り、嬉しいニュースである。DISH Networkはすでにこれら世帯を対象に地上波再送信と20の多チャンネルネットワークのサービスを$10で提供しているが、Comcastも1年間は月額$10のサービスを発表した。Comcastは、さらに新規加入者で、ケーブルモデムか固定電話のサービスのいずれかに加入すれば、ビデオサービスは1年間無料にすると発表している。
