インターネットSTB(ストリーミング・プレーヤ)はスマートTVが普及するまでの過渡的な製品との見かたがあった。しかし、Tim Cook氏はApple TVは同社の「趣味」では無く、主流の製品になっていると語っている。昨年夏に出荷が開始されたGoogle Chromecastの売上は好調で、すでに数百万台が出荷されている。そして、先月にはAmazonがFire TVを出荷開始した。
iSTBに対する消費者の関心が高まっているのはスマートTVが高価な事がある。TVメーカーに取り、スマートはハイエンド向けテレビの機能である。これに対して、iSTBは$100以下であり、WalMartで買った、小さな画面の安いテレビでもスマート化が出来る。インターネット接続はハイエンド機能であるので、メーカーは毎年、見た目を新しくし、古いスマートTVを陳腐化させている。LGはYahoo TV、LG独自、Google TV、そしてWebOSと、毎年の様にミドルウェアまで変えている。メーカーはスマートTVは高価で、1年で陳腐化するとのメッセージを送っている。それなら、$35のChromecastを買った方がスマートである。
また、スマートTVを買っても、そのアプリが使いにくいので、iSTBを使っている人もいる。スマートTVでは、アプリによりインタフェースと操作方法が大きくと異なる事がある。アプリによって操作が異なるのはスマートフォンも同じだが、小さな画面では画面構成は自然と同じになり、操作方法は基本的に同じである。大画面のスマートTVでは、縦/横スクロール、分離等、様々な構成が可能である。さらにリモコンには無数のボタンがあり、操作は様々である。
iSTBでも同じ様な問題はある。これまではCPUの性能が低く、提供されるSDKの限度から出来る事が限られていた事が問題を小さくしていた。しかし、Fire TVの様に高度なCPUを持ち、Androidベースであれば、アプリのUIがかなり異なってしまう可能性がある。GoogleはそのソリューションをAndroid TVで提供しようとしている。
Googleは、Google TVは失敗であったが、スマートTV、あるいはiSTBにAndroidを使わせる事は諦めてなく、Android TVの開発を続けている。新しいAndroid TVではGoogle TVにあったようなテレビ画面にGoogle TVをオーバーレイする等の放送との融合機能は無い。しかし、Android TVでは、Googleはアプリに対してインタフェースの仕様を提供し、アプリ間の操作感の差を無くそうとしている。利用者は異なるアプリも基本的に同じ操作で使うことが出来る。また、メタデータの仕様も統一する事で、現在では困難である全アプリに対する検索等の機能も提供する事が出来る。問題は果たして、Netflix、Amazon、Hulu Plus等の大手ストリーミング事業が同じインタフェースにする事に賛成するかだ。
iSBTに対する関心は多チャンネル事業者側からもある。今号の記事にあるようにケーブルTV事業者のブロードバンド加入者数が、ケーブルTV加入者数と同じになった。これはブロードバンド事業の重要性が増している事を意味しているが、ARPUではケーブルTVが高い。いかにブロードバンドとケーブルTV事業を融合し、ケーブルTV離れを防ぎ、ARPUを向上されるかが課題である。ブランドが重要になる事で、Netflix等のOTTサービスは敵では無くなっている。OTTビデオの利用が増えれば、より高速なブロードバンドの需要が増える。欧州ではケーブルTV事業者がNetflixの提供を始めていたが、アメリカでもTiVoのDVRを導入しているケーブルTV事業者がNetflixの提供を開始した。
また、Time Warner CableはFanhattan社のiSTB、Fan TVをその加入者に対して$99で売り始めた。Fan TVはケーブルTV事業者が販売するiSTBとして開発された製品で、昨年Cox Communicationsがテスト導入を行っていた。Time Warner CableはケーブルTVサービスをケーブルモデム回線でもサイマルキャストしており、Fan TVでこれが視聴可能になる以外、ストリーミングサービスのRedbox Instant、Crackle、Target Ticket等を使う事が出来る。Fan TVはケーブルTV事業者が売る最初のiSTBになる。Fanhattanは他のケーブルTV事業者とも交渉中と発表している。しかし、現時点では、Netflix、Amazon Instant、それにHulu Plusのサポートは無く、Roku、Apple TV、Chromecast等の大きな挑戦にはならない。
