なぜFASTはポピュラーなのか

FASTの利用者が増えている最大の理由は無料だからであるが、コンテンツが豊富になっているのも重要な理由だ。AVODサービスは以前から存在していたがポピュラーではなかった理由は多くのコンテンツは古く、さらに人気のなかったテレビ番組と映画が主体であったからだ。無料であったも、利用者は少なかった。

Rokuは同社のプラットフォームを使うSVOD事業者からプロモーション目的でコンテンツをライセンスすることでRoku Channelのライブラリーを増やし、成功させた。そして、コンテンツ事業者のFoxとParamount GlobalがAVOD/FASTに参入することで、無料サービスのコンテンツの数は大きくと増えた。

音楽チャンネルのVEVOとPublics Mediaが行った調査ではFASTを好んで使っている人の86%がFASTには多くのTV番組と映画があると答えている。FAST利用者全体の77%もそれに合意している。しかし、FASTのライブラリーがSVODより多い訳では無い。NetflixとAmazon Prime Videoにはそれぞれ7,000以上のタイトルがある。Huluのタイトルは7,000以下だが、Disney+とHuluの合計では8,500以上のタイトルになる。対して、FoxのTubiは5,000タイトル、Roku Channel、Pluto TVのオンデマンドのコンテンツはそれ以下である。

FASTはコンテンツが実際以上に多くあるように感じるのはSVODとのUIの違いである。FASTのUIはテレビ番組表であり、検索の必要がない。これは、FASTが好まれているもう1つの理由でもある。FAST好きな人の84%はFASTは見たいものを探しているときに適していると答えているが、FAST利用者全体ではこれに賛成している人は72%と低めである。見たいものが決まっていない時にオンデマンドはコンテンツを探すのには適していない。7,000のタイトルをスクロールして行くのは現実的ではない。FASTではその時間帯に見ることが出来るコンテンツは決まっているので、見たいチャンネルに短時間で行くつくことが出来る。


VEVO, Publicis Media

VEVOとPublics Mediaの調査では「このサービスを使うときは見たいものが見つかるまで、ブラウズ、あるいはスクロールを続ける」の問に対して、Yesが最も多かったサービスはFASTで59%、vMVPDとSVODは44%以下であった。FASTは見たいものが決まっていない時に使うサービスであり、限定されている中から探すので、コンテンツは豊富に感じる。SVODの検索が面倒に感じる人たちは見たいものをすぐに決めることが出来るFASTを好む。

しかし、FASTのチャンネルが増えることで、FASTでも見たいチャンネルを見つけるのに時間がかかるようになっている。Pluto TVは最近、チャンネルのジャンル分けを見直し、新たに「Sci-Fi」、「ドラマ」、「犯罪実話」の3つを加えた。Pluto TVはチャンネル数が増えており、チャンネルのジャンル分けはこれまで以上に重要になり、その作業はAI等に頼るのではなく、人間によりチャンネルのジャンル分けを重視していると話している。


VEVO, Publicis Media