Nielsenの新たなトラブル

Nielsenの視聴調査はテレビ広告のカレンシーである。放送局/ネットワークの収入に過大な影響を与え、批判の的になることも多い。最近ではパンデミックの影響からパネル世帯への管理が不十分になり、調査に誤りが出たことで、2021年にMedia Rating Council(MRC)の認定を失い、大きな批判を受けた。さらに、Comscore、VideoAmp、iSpot.tv等の競合が参入する機会も与えてしまった。NielsenはMRCの認定を取り直し、競合と同様にスマートTVからのビッグデータを加え信頼を回復しようとしているが、新しいデータは不安定だと批判が依然としてある。

Nielsenは最近、広告調査の標準化を目指すAdvertising Research Foundationのメディア利用調査のDASHのデータを統計の母集団に加えた。DASHはシカゴ大学に属す非営利調査組織のNORCが請け負っており、MRCの認定も得ている。しかし、これが新たなトラブルに発展している。

アメリカの1局2波の状況

アメリカの放送は210のDMA(指定市場区域)に分かれており、1つの会社が同じDMAで最大2つの放送局を所有することは許されている。これは「Duopoly」と呼ばれている。2つの局を持つことは可能だが、両方がその地域のトップ4局であってはならない。要するに1つの会社がすでにABC加盟局を持っていれば、同じ地域で持てるのはCBS、Fox、NBC加盟局以外のマイナーなネットワーク局、あるいは独立局になる。

ParamountによるWBD買収で誰が損をしたのか

Warner Brothers Discovery(WBD)はSkydance Paramountによる、一株あたり$31での敵対的買収に応じ、Netflixによる買収は無くなった。これで、一番徳をしたのはWBDのトップである。Netflixによるオファーよりも高く会社を売ることが出来、大きなボーナスを得ることが出来る。しかし、理由は後記するがこの買収はWBD自体には良いことでは無いかも知れない。

ATSC 3.0外付けチューナー普及の問題点

ATSC 3.0は伸び悩んでいる。放送は世帯の75%で視聴可能になっているが、ATSC 3.0対応テレビは売れず、アンテナでのテレビ視聴者も増えていない。次世代放送の視聴者はまだ、数パーセント程度でしかない。放送局所有会社は大都市では2028年、その他の都市では2030年にATSC 1.0を停波し、3.0への移行を実施しようとしている。既存のATSC 1.0での放送が無くなれば、視聴者はATSC 3.0に移行せざるを得ないという、ショック治療である。

これを成功させるのにはATSC 3.0対応のテレビを買いやすくする必要がある。しかし、ATSC 3.0対応のテレビを販売しているのはSamsung、Sony、Hisense、TCL、Panasonicの5社だけであり、機種はハイエンドに限定されている。放送局所有会社のコンソーシアムのPearl TVはATSC 3.0対応テレビの普及のために、$60程度で購入出来る外付けチューナーの普及を新たな目標に掲げた。

2026年は放送業界の再編成の年

Warner Brothers Discovery(WBD)は多チャンネルネットワーク事業を分離し、スタジオ事業とHBO(有料チャンネルとストリーミングサービス)をNetflixに売る。ComcastはNBCUniversalの多チャンネル向けネットワーク事業をVersantとして今月にスピンオフした。多チャンネル事業者では1位のCablevisionは多チャンネル事業者としては9位、ケーブルTV事業としては3位のCox Communicationsを買う。地上波放送局会社としては全米に200以上の局を持つ最大手のNexstarは4位のTegnaを買収する予定である。

放送業界の再編が活発になっているのには2つの理由がある。1つは放送事業がついに破綻し始めたからである。ピークでは世帯の86%が加入していた多チャンネルサービスの加入者は50%を割ろうとしている。ケーブルTV事業者はブロードバンドにフォカスし、収入を増やしてきたが、最近では通信事業者の5Gを使った固定ブロードバンドに加入者を奪われ、ブロードバンド加入者も失っている。