WOWがIPTVをテスト

Wide Open West(ブランド名はWOW!)は小規模な通信会社であったが、2001年にベル電話会社のAmeritech(現在はAT&Tの一部)のケーブルTV事業を買収し、中西部のケーブルTV/ブロードバンド事業者になり、その後、Broadstripe、Knology、NuLink等を買収し、規模を大きくしている。WOWはケーブルTV事業者としてはオーバービルダー(既存事業者がある地域での競合事業者)である。現在の加入世帯数はブロードバンドが42,300世帯、ケーブルTVが18,700世帯で、全体顧客数は42,500世帯である。加入世帯の殆どはブロードバンドであり、ケーブルTVへの加入者は44%である。

OTTビデオの普及により、ケーブルTV加入者は減少しており、ブロードバンドがケーブルTV事業者の重要な収入源になっている。経済的余裕がない極小規模事業者ではケーブルTVを捨て、ブロードバンドに専念する会社も出ている。WOWはビデオサービスを切り捨てる予定は無いが、ブロードバンドが主体になる時代に備え、2つのテストを行っている。1つはチャールストン市(サウスカロライナ州)で開始したvMVPDサービスの提供で、YouTube TV、Sling TV、FuboTV、Philoの4つのサービスを販売している。

もう1つはコロンバス市(オハイオ州)で開始したWOW! tv+と呼ばれるIPTVサービスである。サービスはWOWの既存のケーブルTVと同等のチャンネルをIP上で提供している。STBにはAndroid TVを使った専用のデバイスを使っている。WOW! tv+はIPベースであるが、自社の回線を使っており、vMVPDではない。サービスはvMVPDではなく、既存のケーブルTVと同等の機能を求める世帯向けである。IP化する理由は帯域の有効利用である。ケーブルTV加入者が減ると、QAMでの配信は効率的では無くなる。WOW! tv+はケーブルTV同等のサービスを提供しながら、増えていくOTTビデオサービスに必要なブロードバンドサービスの高速化に対応していく方法をテストする事が目的である。

自社でのケーブルTVサービスの提供を終了し、vMVPDサービスを再販することでコストを削減する事が出来る。さらに、空いた帯域を使い、より高速なブロードバンドを提供する事も出来る。しかし、vMVPDのサービスは既存のケーブルと異なる部分もあり、ケーブルTVに馴染んだ人を満足させる事が出来ない可能性もある。WOWはオーバービルダーであるので、そのサービス地域には他のケーブルTV事業者がおり、満足度が減ると加入者を失ってしまうリスクが高い。WOW! tv+はそれら加入者を引き止めながら、コードカッティングの加速に備えるソリューションである。