Verizonがバーチャル・ケーブルTVサービスのOnCueを計画しいたIntel Mediaを買収した。買収金額は発表されていない。Intelは5億ドルの値段を付けていたが、合意した金額は2億ドルに近いと推測されている。Verizonは、Intel Mediaの約350人のスタッフを引き継ぎ、オフィスはシリコンバレーから動かさない。また、契約にはVerizonのSTBにIntelのCPUを使うことも含まれていると思われる。
VerizonはなぜIntel Mediaを買収したか? 1つの理由は、そのFiOS TVをフルIPTVに移行するためだと言われている。FiOS TVはQAMとIPのハイブリッドだが、VerizonはIPへの完全な移行を進める予定だ。しかし、その為だけにIntel Mediaは必要ではない。VerizonはすでにIPに移行する技術は持っており、IPTV化の為だけにIntel Mediaを買収する必要は無い。Verizonは第1四半期にはArris社製のメディアサーバー(6つのチューナと1TBのHDD)を導入する予定であり、IP化の計画があっても今すぐの事ではない。
もう1つの理由として、FiOS TVの機能を高める為にIntel Mediaが必要とも言われている。だが、Verizonは光ファーバー導入はストップしており、加入者の増加は減っている。Verizonの2013年第4四半期の加入者増加数は92,000世帯で、前年同期の134,000世帯から減少をしている。これに対して、AT&TのU-Verse TVは第4四半期に194,000世帯の加入者を増やしている。今後の拡張の無いFiOS TVの為に新たに$2億ドル以上の投資をする必要があるか?
より可能性が高いのは固定LTEによる多チャンネルサービスだ。OnCueのサービスは既存のブロードバンドでケーブルTVと同等のサービスを提供する為に開発されており、低速のブロードバンドでもかなり良いレベルでの配信が可能と言われている。VerizonはLTEマルチキャストのサービスを夏までに立ち上げようとしている。Intel Mediaの技術を使う事でVerizonは光ファイバーへの投資無しで、全米規模でFiOS TVを提供する事が可能になるかも知れない。
もう1つの可能性性は、クラウドを使った多チャンネルサービスの提供である。Comcastは中小ケーブルTV事業者向けにHITS(Headend in the Sky)を提供しているが、同じ様なコンセプトでVerizonはOnCueの技術を使い、ブロードバンド回線を持つ事業者に対して多チャンネルサービスのアウトソースが出来るようになる。Verizonは全米のバックボーンを持ち、ネットワークだけでなく様々なクラウドサービスの提供を行っている。これにFiOS TVでの経験、さらにOnCueの技術を取り込む事で、Verizonはラストマイルを持つISP事業者に最先端の多チャンネルサービスのソリューションを提供をする事が可能になる。IntelがOnCueの提供を諦めた一番の理由はコンテンツ事業者との契約であったと思われる。VerizonはFiOS TVによりコンテンツ事業者とはコンタクトを持ち、契約の代行も可能である。特にサービス形態がOTTでは無く、契約したISP事業者の回線であれば、ケーブルTVと同等であり、コンテンツ問題はさらに少なくなる。
アメリカには中小の電話事業者、ケーブルTVを事業者が多くある。ブロードバンドは持っているが、資源(金とノーハウ)が乏しく、それを活かすビデオ配信を含めた、高度なサービスは出来ない。TiVoの最近の成功にはこの背景がある。TiVoのSTBを使えば、最新機能の提供が出来る。しかし、コンテンツ事業者との契約はTiVoは代行出来ない。ComcastもHITSの次世代バージョンとしてX1の技術を使ったサービスを考えている。X1により、ネットワークDVR含め、TiVo同等の機能が提供可能であり、さらにComcastはコンテンツ契約も出来る。Comcastは全米ネットワークの構築を進めている。クラウドを使った多チャンネルサービスのアウトソース事業としてVerizonとComcastが大きな競合になるかも知れない。
OTTによるケーブルTVサービスの提供は、Sonyも計画をしており、CESにおいて「クラウドベースのTVサービス」を年内にテスト開始すると発表した。Sonyのサービスの詳細は不明だが、同社はすでにNickelodeon、MTV、Comedy Central等のネットワークを持つ、Viacomと配信契約を結んでいると報道されている。
