ケーブルTV事業者のRCNは、ニューヨーク、ワシントンDCに続き、ボストンでもTiVoのデジタルケーブル対応のDVRの提供を開始した。今後RCNは、シカゴ、フィラデルフィア、ペンシルバニアのシステムでもTiVoのDVRを提供していく。RCNは競合通信事業者として、スタートした事業者で、光ファイバーを豊富に使った高速のネットワークを売り物にしており、TiVoの持つ、TVにインターネットビデオを加える機能を生かす事が出来る。また、第8位のケーブルTV事業者で、150万世帯の加入者を持つSuddenlinkも第4四半期から、TiVoのPremiere DVRを提供する事を発表した。
以前から、TiVoのソフトウェアはComcast、Coxが採用しているが、これらはTiVoのナビゲーション(IPG)機能を使っている物で、TiVoのDVR自体を採用してる訳ではない。ソフトウェアは、STB向けにポートされ、Motorola、CiscoのSTB上で走っている。これらのSTBでは、TiVoのDVRが提供するインターネットビデオを含めた、インターネットコンテンツとの融合機能は無い。
Suddenlinkの発表では、同社はTiVoのPremiere DVRに加え、新たに開発されるマルチルームDVRも提供する事になっている。TiVoはPremiere DVRに録画されたコンテンツを別の部屋からアクセスする事が可能なクライアント・ボックスを開発している事を明らかにしている。詳細は発表されていないが、このクライアント・ボックスは単にDVRに録画された番組を再生するだけでなく、全く親機と同じ機能を提供する事が出来る。
現在、TiVoはNetgearが開発したReadyNASを使い、マルチルーム機能を提供する事が出来る。番組はReadyNASに録画され、各部屋のTiVoから番組にアクセスする事が出来る。しかし、このソルーションでは、ReadyNASに加え、各部屋にTiVoが必要となり、高価なマルチルームDVRシステムとなってしまう。
DirecTVとの契約が切れた後、TiVoの販売チャンネルは小売り主体となり、加入者数は減少を続けている。TiVoは、RCN、Suddenlinkの様な多チャンネル事業者との契約を増やしていく事を狙っている。しかし、小規模な事業者との契約では、加入者を増やすのに時間が掛かる。TiVoはComcast、Time Warner、Cox等の大手との契約を必要としている。その為にTiVoは、現在開発中のマルチルームDVRが戦略の重要な武器になると考えている。
マルチルームDVRはホットな製品になると期待されている。利用者は、DVRに録画された番組をそのDVRが設置されている部屋のTVで見るだけでなく、他の部屋のTV、あるいはPCで見る事を求めている。DVRの番組だけでなく、TV、それにPCがネットワーク化される事で、家庭内でのコンテンツの共有が簡単に可能になる。TiVoは、既存のSTBベンダーのMotorola、Cisco、Pace等より、IPベースのコンテンツとの融合には豊富な経験を持ち、これが大きなアドバンテージなると考えている。
しかし、TiVoがそのDVRを大手ケーブルTV事業者に売ることが出来るかは、そのマルチルーム機能だけでなく、TiVoの提案するIPバックチャンネルを売り込むことが出来るかも重要になる。TiVoのPremiere DVRはTru2way対応では無い。このため、そのままではケーブルTV事業者の提供するVOD、あるいはSDV(Switched Digital Video)のチャンネルを受ける事は出来ない。RCNとSuddenlinkは、SeaChange International社の提供するIPバックチャンネル技術で、この問題に対応している。RCNは、VODサーバーにSeaChangeを使っているので、SeaChangeのIPバックチャンネル製品との組み合わせは特に問題がなかった。SuddenlinkのVODシステムはMotorola製であり、TiVoとSuddenlinkは、SeaChangeのIPバックチャンネルをこれに対応させることが出来るかのテストを続けて来た。
TiVoはそのソフトウェア(IPG)をTru2way対応のSTBにポートしていくが、自社の製品ではTru2wayを採用する事はあり得ないと語っている。TiVoはTru2way無しでも、IPバックチャンネルを使う事でVOD、IPG、SDV等の双方向機能を実現する事が出来、Tru2wayは無駄なコストだと考えている。FCCはケーブルTV事業者に対して、TiVo等のTru2wayに対応出来ない製品にもSDVのチャンネルを視聴可能にする必要があるとの通告をしており、Comcast、Time Warner Cable等はその為のアダプターを配ると約束している。これに対して、TiVoはIPバックチャンネルを採用すれば、アダプター無しで、SDVが視聴可能になるだけでなく、VOD等の他の双方向サービスにも対応出来るとして、IPバックチャンネルの優位さを訴えている。
大手以外のケーブルTV事業者には、IPバックチャンネルの採用は大きな問題では無い。多くの中小事業者はまだ、Tru2wayの対応はしていない。また、中小事業者は、MotorolaとCiscoの束縛から逃れる方法を求めており、TiVoが推奨するIPバックチャンネルはこれを可能にする。しかし、これまでTru2wayの重要性をアピールし、その為の投資をして来た大手ケーブル事業者は、簡単にTiVoの提案を受け入れる事は出来ない。
