BSkyBのブロードバンドVOD

BSkyBは同社が1月10日から開始したブロードバンドVODサービスの登録者が125,000に達したと発表した。BSkyBのプレミアム映画チャンネルのSky Moviesに加入している視聴者は,BSkyBのサイトからSky Moviesが放映した300以上の映画を無料でダウンロードし,視聴出来る。ダウンロードした映画は1ヶ月間,視聴者のハードディスクに蓄積される,BSkyBはビデオの配信にIn2TVが採用しているKontikiのP2P型のグリッドデリバリー技術を採用している。

MovieBeamが復活

Disneyは地上波放送のデータ放送を使い,映画を専用のSTBに蓄積し,VODを提供するMovieBeamのサービスを復活させた。最初のMovieBeamのサービスは 2003年9月に立ち上げられた。サービスはスポケーン(ワシントン),ジャクソンビル(フロリダ),ソルトレーク(ユタ)で提供さたが,それ以上の規模には広がることなく,2005年5月にサービスは中断された。利用者は月額6.99ドルで100本の映画が蓄積されたMovieBeamのSTBを借り,映画は週に約10本のベースで更新されていく。映画は1本,$2.5から$4で見ることが出来る。このサービスが成功しなかった理由は幾つか指摘されている。

  • 映画を全く見なくても月額7ドルを払う必要がある
  • 映画のリリース時期は通常のVODと同じのDVDでリリースされてから30日以上後である
  • STBはMovieBeam専用であり,他の利用法が無い

Disney(正確にはその子会社のBuena Vista)に十分な資本力がなかった
復活したMovieBeamは資本力の点では前回より遙かに強い。今回,MovieBeamはIntel Capital,Cisco,Mayfield Fund,Norwest Partners,VantagePoint Venture Partnersから4850万ドルの資金を得ている。前回は3都市でしかサービスの提供が出来なかったが,今回はボストン,デンバー,シカゴ,ニュートーク,デトロイト,フィラデルフィア,シアトル,ワシントンDC,LA等29都市でサービスを開始している。データ放送の契約は非営利ネットワークのPBS(Public Broadcasting Service)と結んでいる。PBSは300局あり,人口の98%をカバーしている。

前回はSTBはレンタルであったが,今回は買い取りになっている。160 GBのHDDを搭載したSTBはCiscoのLinksysブランドで199.99ドル(50ドルのリベート後)で提供され,さらに29.99ドルのアクティベーション費がかかる。毎月7ドルを支払う必要は無いが,最初に230ドル支払う必要性があり,コストの問題が対応されたとは言えない。果たして,200ドルの価値があるかはコンテンツとその他のSTBの機能で決まる。

今回のMovieBeamの最大のセールスポイントは新作映画のリリースがDVDと同じである事と,一部の映画はHDで提供されることである。映画の値段は1本2ドルから4ドルで,HDの場合は1ドル追加になる。通常のVODより早く見られること,さらにDVDではまだであるHD画質で映画を見られることは大きな事であるが,これに230ドルの投資価値があるかは疑問である。

このSTBがMovieBeam以外で使えるのかは発表されていない。しかし,STBにはUSB 2.0,イーサネットのポートがあり,音楽等の他のコンテンツのダウンロード,ホームネットワークへの接続は検討されているのであろう。Intel が投資していることを考えるとViiv対応で,他のViivデバイスとのネットワーク機能が追加される事も考えられる。

最初のサービスと今回のサービスで全く変わっていないのはその伝送方法で,アナログ放送を使ったデータ放送である。速度は1.2 Mbps程度である。サービスはMicrosoftのMedia 9(VC-1)を圧縮に使っているので,SD画質の映画で1.5 GB,HDでは4~5 GBのファイルサイズになり,SDの映画でも伝送に2時間,HDでは8時間必要になる。HDDに蓄積されるので,速度は問題では無く,MovieBeamはアナログデータ放送の方が安定した技術であり,コストも安いと語っている。しかし,アナログ放送は2009年には終了になるので,その時点ではハードウェアのアップグレードが必要になる。

前回成功出来なかった問題点に十分に対応したとは言えない。しかし,2003年の時よりVODの利用は広がっており,消費者がこの様なサービスを受け入れる可能性は増えている。新MovieBeamには資本力はあり,ビジネスモデル上の問題点に対応していけば,成功出来る可能性はある。注目するべき事はこのサービスにはMSO,電話会社,DBS事業者が関わっていなく,コンテンツ事業者とハードウェア事業者のパートナーシップである事だ。通信事業者としてはそのネットワークがバイパスされる脅威となる可能性がある。

AT&TがBellSouthの買収を発表

SBCがAT&T買収して誕生した「新」AT&Tは南部のベル系地域電話会社のBellSouthを670億ドルで購入する計画を発表した。AT&Tの目的に関して色々な説が出ていが,当然,これだけの買い物を1つの目的でする事は無く,複数の理由があり,どの説も正しいのであろう。この買収で,AT&Tの固定回線の加入者数が増えることは大きなインパクトである。しかし,固定回線自体は成長性の高い分野ではなく,これだけでは670億ドルの価値は無いであろう。固定回線の加入者が増えることで,ADSLの加入者も増え,ブロードバンド市場へのインパクトもある。AT&TはComcastを抜き,トップブロードバンドベンダーになる。だが,AT&T,BellSouthの既存回線ではビデオに対応出来るようなブロードバンドは不可能であり,光ファイバーネットワークの敷設が必要である。AT&Tの買収以前からSBCの光ファイバー計画は遅れが見え,AT&T買収でこの遅れはさらに出てくる。これにBellSouthの買収が加われば,より遅れが出る可能性が高い。ブロードバンド化にはこの買収は,短期的にはマイナス要因かも知れない。

現在,重要視されているのは電話,ブロードバンド,ビデオのトリプルプレーでは無く,3つの画面,TV,PC,携帯に対するサービスとしてのトリプルプレーである。「新」AT&Tは携帯電話の3G化,特にビデオサービスの提供ではVerizon,Sprintに後れている事を認識し,積極的に進めていこうと考えていた。しかし,CingularはBellSouthとのジョイントベンチャーであり,BellSouthの保守的な考えが大きなブレーキになっていると言われている。この事だけで,AT&TがBellSouthの買収を行ったとは思えないが,短期的にはこれが一番の影響がある。AT&TはまずCingularをAT&Tブランドにして,積極的にビデオを含めた携帯の高度サービスの提供に出ていくであろう。

この買収か許可されると,AT&Tの分割で出来た7つのベル系地域電会社で残るのはQwest(元US West)のみとなる。この事から,VerizonがQwestを買収するとの考えもある。しかし,デンバー以外は人口密度が低いQwestの営業地域は余り魅力的ではない。AT&TのBellSouthの短期的なインパクトが携帯事業であれば,Verizonはその対応を考えるかも知れない。Verizon WirelessはVodafoneとのジョイントベンチャーであり,VerizonはVerizon Wirelessの株をVodafoneから買い取る事を考えるであろう。また,同じCDMAを使っている田舎地域を主体にサービスを提供しているAlltelの買収もQwestを買収する以上に考えられる事である。どちらにせよ,この買収はVerizonに対する大きなプレッシャーになる。

ミズーリでも進む州単位のフランチャイズ

ミズーリ州の上院通商委員会は7-2でミズーリ州で州単位でのケーブルTVフランチャイズを提供する法案をいったん,そのスポンサーであるジョン・クレッシュミア上院議員に定義の内容の確認の為に戻した後で,上院議会に提出する事に合意した。同州のケーブルTV事業者を代表するMissouri Cable Telecommunications Associationは当然,この法案には反対をしている。

連邦レベルでもフランチャイズ改正への動きが始まる

連邦議会でもケーブルTVフランチャイズを全国レベルで許可する法案が3月には下院議会で動き始めると思われる。下院エネルギーと通商委員長のJoe Bartonが3月8日にこの案に合意をしたと報道されている。上院でも通信法改正の動きが進んでおり,早ければ今年の夏には立法化が可能である。下院議会の案では電話事業者は全国レベルのフランチャイズを得ることが出来るが,サービスを始めた場合その地域の自治体に,その地域の売上げの6%を支払う必要がある(現在のフランチャイズは最大5%)。VerizonはFCCに対してフランチャイズ契約は6ヶ月から19ヶ月かかっていると報告をしている。