BSKyBは加入者を増やす方法としてDSLサービスを無料で提供し始めた。BSkyBは$27以上のパッケージに12ヶ月契約をしたSky Digitalの新規加入者に対して2Mbpsのサービスを無料で提供する。8Mbpsへは$9,16 Mbpsへは$18でアップグレードが可能。これに対して,ケーブルTV事業者のNTLはその電話サービスに加入する世帯にはケーブルTVを無料にした。NTLの$20の電話サービスに加入した世帯には設置を含めて無料で,デジタルケーブルTVサービスが提供される。NTLはまた,ビデオ,固定電話,ブロードバンド,モバイル電話をバンドルする「Quad-play」を10月から$74で提供する事も発表した。
フランチャイズ規制の動き
ケーブルTV事業者がケーブルTVサービスを行う際,自治体とフランチャイズ契約を結ぶことが連邦法で義務化されている。フランチャイズ契約は事業者がケーブルTV網を敷設するのに公共の土地(空中)権を使う代わりに自治体に支払い,それに放送,データ通信サービス等を提供する契約である。電話回線の敷設にはこのような自治体とのフランチャイズ契約は無く,電話事業者が敷設している光ファイバー網で提供されるビデオサービスもケーブルTVサービスとして定義され,フランチャイズ規制の対象になるべきかが争われている。
電話事業者は当然,この規制には賛成ではない。何千もある自治体と交渉をする事は市場参入を遅らせる。AT&Tはフランチャイズ交渉は積極的には行っていなく,規制の動きを見ている。これに対して,Verizonはフランチャイズ契約を行い,サービスを提供しているが,契約に至るまでには非常に手間と時間がかかっている事を明らかにしている。決まったフランチャイズ契約の項目がある分けではなく,自治体によっては難題を要求する場合もある。最近,Verizonはフランチャイズ上の問題で,マリーランド州のモンゴメリー群に対する訴訟を起こした。Verizon社はモンゴメリー群はフランチャイズ契約として,65のチャンネルを公共チャンネルとして群に提供する事,この交渉に関して群が雇う弁護士とコンサルタントの給料を支払う事,さらにケーブルTVだけでなく,電話,データ通信サービスの売上げの一部も群に支払う等,非常識な項目を要求しており,これはフランチャイズ法で許された範囲を超える行為だとして,Verizonはモンゴメリー群を訴えた。
連邦議会,それに一部の州議会ではこの規制の見直しが検討されている。競合の参入を早めるために規制を緩和し,全米,あるいは州単位でのフランチャイズを可能にする法案が検討されている。ケーブルTV事業者は当然,これに反対をしてきた。しかし,その態度は柔軟になりつつある。通信規制のもう1つの大きな話題はインターネット中立性で,ブロードバンド事業者にQoSを使ったサービスを別料金で提供する事を許すべきかの議論である。ケーブルTV事業者はこの規制にも反対しており,両方に反対するより,フランチャイズ法では譲り,インターネット中立性では電話事業者と協力し,戦うべきとの意見がある。
また,コネチカット州の公共事業委員会がIPベースのビデオサービスをケーブルTVではなく情報サービスと見なす事が3対2で通過した事も大きなインパクトである。これにより,コネチカット州では電話事業者はフランチャイズ権無しでIPTVサービスを提供出来る事になる。コネチカット州ではAT&TがIPTVサービスを提供する予定であり,公共事業委員会はAT&TはIPTVは基本的にケーブルTVとは異なることを実証出来たとして,この決定に至った。コネチカット州でケーブルTVサービスを提供しているCablevision,Cox,Charter等の事業者は州の司法長官に対してこの決定の執行中止を求める嘆願を行っている。
電話会社のビデオサービスに全国,あるいは州レベルのフランチャイズが認められても,それはIPTVをケーブルTV同等を見なしているからである。しかし,コネチカットの様にIPTVを情報サービスとして見なされては,ケーブルTVに対する規制はIPTVには適用されなくなる。ケーブルTV事業者には電話会社のビデオサービスもケーブルTVと同じと定義され,同じ規制下で競合する事が大切である。
カリフォルニア州議会でも電話会社に対して州単位でのフランチャイズを許可する法案が議論されているが,これまで反対をしてきたカリフォルニア州のケーブルTV事業者を代表するCalifornia Cable & Telecommunications Associationは,最新の法案ではケーブルTV事業者にも同様に州全体でのフランチャイズ契約に移行する事を可能にしたとして,この法案に賛成すると発表した。ケーブルTV事業者に取っては,IPTVもケーブルTVと同じ規制下にあると認めさせることが重要である。コネチカット州がこの決定を行った翌々日には連邦下院議会において,IPTVの事業者にもフランチャイズ義務があることを正式にする法案が提出されている。
Googleの研究者がITV技術を発表
5月の末にアテネで開催されたインタラクティブTVの会議,EuroITV 2006でGoogleとエルサレム・ヘブライ大学の研究者が共同で発表した研究論文が最優秀論文賞を受賞した。この「Social- and Interactive-Television Applications Based on Real-Time Ambient-Auto Identification」と題された研究はPCベースで,特殊なハードウェア,ソフトウェアを使わずにTVとPCを使ったインタラクティブなサービスを提供する物である。
PCに搭載されている通常のマイクロフォンを使い,部屋の環境音を拾い,それを使い,部屋にあるTVが放送している番組が何であるかを把握する。具体的にはPCが収集した音はブラウザー等のアッドオンにより,不可逆変換の統計的データに変換される。このデータは放送されている全ての番組の統計的な音声データベースサーバーに送られ,番組を把握し,これによってインタラクティブなサービスを提供する。音声データベースサーバーは放送された全ての番組の統計的な特徴データを保存する事で,視聴者が見ている番組がDRVされた物であっても,それがどのエピソードの何分の時点であるかを把握する事が出来る。
この技術の応用例として,論文では4つのサービスを上げている。
- パーソナライズされた番組の補足情報の提供
- 同じ番組を見ている人たちの一時的なコミュニティの作成
- リアルタイムの視聴率を得る
- その番組のブックマーク
パーソナライズされた補足情報では視聴者の関心のある分野,例えばファッション,政治,健康,旅行等と見ている番組に登場する話題,役者等の情報を掛け合わせ,視聴者にもっと感心がある情報を自動的にPCで提供する事が出来る。ファッションに関心があれば,その番組に出てくる役者が着ていた服のデザイナー等の情報を自動的に得ることが出来る。
どの番組を見ているかが分かることで,同じ番組を見ている人たちの一時的なコミュニティーを自動的に作成出来る。例えば,CNNのニュースにチャンネルを変えると,自動的に同じ番組を見ている人たちで作られたコミュニティーに行き,そこで意見の交換をする事が出来る。
視聴率を得る方法としても,この技術は使える。これまでの方法とは異なり,ほぼリアルタイムで視聴率を得ることが可能である。単純に番組の視聴率を得るだけでなく,その変化を追っていくことも出来る。情報としても貴重であるが,リアルタイムで視聴率を把握する事で,複数のバージョンの広告を準備し,視聴率の高い物を選ぶ,あるいは広告の挿入順序をアクティブに変える等の新しい広告の提供が可能になる。
ブックマークの機能では視聴者は気に入った番組,エピソード,あるいは特定の場面等をPCにブックマークする事が出来る。その時点での音声データはクライアントのPCに保存され,それを使い,他のエピソードを探す事等が出来る。ブックマークに使われるデータは統計的な特徴のデータであり,音声自体では無いのでコピーライトを侵すことなく,ウェブ上でシェアする事も可能である。
この論文はhttp://www.mangolassi.org/covell/pubs/euroITV-2006.pdfにある。
CableCARDをめぐるNCTAとCEAの喧嘩
FCCが求めているCableCARDの普及状況の四半期報告において,NCTAはCableCARDの導入時に問題が起きている事を明らかにし,この問題はCableCARD搭載のDRC(デジタルケーブル対応)テレビを作っている,家電ベンダーの責任だと結論付けた。NCTAの報告では主要事業者におけるCableCARDの設置は前四半期の14万件から17万件に増えたが,同時に導入時の問題も増えた。全体での導入時の問題件数は発表されていないが,Adelphiaの場合はCableCARD導入の8%に問題があったと報告されている。NCTAはこの問題の殆どは製品レベルの問題で,家電ベンダーにその責任があるとした。DCR製品を提供するソニー,シャープ,Philips,日立,JVC,東芝,Samsung,LG,RCA等の製品互換性の問題であり,導入問題を減らすにはより厳しい互換性検証の試験が必要だと結論付けた。
これに対して家電ベンダーを代表するCEAはFCCに対して30程度の事例を含めて,導入問題はDCR製品では無く,ケーブルTV事業者の間違いが原因しているとの反論を提出した。CAEはMSOはCableCARDの導入問題を減らす事に全く努力をしていないと批判をしている。
このCEAの批判に対して,NCTAはCEAが上げた30の事例は全体の0.02%でしかなく,その例外的な事例だけで自分たちの責任を逃れようとするのは無責任であり,CEAは虚報の常習者だと返答しており,NCTAとCEAの喧嘩は続く。
CablevisionはRS-DVRを延期
先月のThe CompassでCablevisionが行おうとしたネットワークベースのDVRサービスに対してコンテンツ事業者が訴訟を起こした事を報じたが,Cablevisionはこれに対して,逆にコンテンツ事業者を訴えた。Remote Storage DVRが法的に求められる消費者が行えるコピーの範囲に入るかは法廷で争われることになる。予定通りに進めば法廷での議論は10月末に開始される。
