Nielsen The Gaugeの読み方

Nielsenはテレビの利用時間の内訳、テレビ視聴時間におけるサービス事業者のシェアを毎月、The Gauge(https://www.nielsen.com/data-center/the-gauge/)として発表している。The Gaugeはテレビの利用時間の内訳であり、TV/動画コンテンツの視聴時間の内訳ではない。Nielsenのパネル世帯が報告したテレビの利用時間が全体であり、スマートフォン等のテレビ以外のデバイスでの視聴は含まれていない。The GaugeのYouTubeのシェアはテレビでの視聴におけるシェアで、全デバイスにおける動画視聴のシェアではない。また、テレビでの動画視聴時間だけでなく、その他にはDVDの視聴、テレビに接続したゲームコンソールでのプレイ、音楽の再生、調査対象外のオンデマンド再生、調査対象以外の接続デバイスの利用等も含まれている。

最も、重要なポイントは利用時間での内訳は媒体ではなく、サービスのタイプであることだ。要するに「Broadcast」は地上波の視聴時間ではなく、地上波ネットワークの視聴時間であり、アンテナ視聴だけでなく、地上波の多チャンネルサービス、あるいはインターネットでの同時再配信も含まれる。「Cable」は多チャンネル向けネットワークの視聴であり、媒体としてはケーブルTV、衛星放送、IPTV、vMVPD等が含まれる。「Streaming」はNetflix、Amazon Prime Video、Hulu、YouTube等のストリーミングサービスであり、vMVPDサービスのYouTube TV、Sling TV、Hulu等は含まれない。vMVPDは地上波と多チャンネル向けネットワークを配信しており、それらはコンテンツにより、「Broadcast」、あるいは「Cable」に含まれる。

「Streaming」の4月のシェアはTV利用時間全体では44.3%、「その他」を排除すると49.4%になるが、これはストリーミングサービスの視聴時間であり、テレビでのストリーミング視聴時間のシェアではない。地上波と多チャンネル向けネットワークのストリーミングでの視聴時間は「Broadcast」、あるいは「Cable」に含まれ、「Streaming」には含まれていない。多チャンネルサービス利用者の30%近くはvMVPD加入者であるので、テレビでのストリーミング時間は50%を大きく超えている。Broadcastの内の25%、Cableの30%をvMVPDとすると、ストリーミングが占める視聴時間は63%になる。


Nielsen

なぜ、Nielsenのデータはサービス別で、媒体別ではないのか。それはNielsenが広告カレンシーの会社であり、広告価値がベースになっているからだ。地上波ネットワークがアンテナで視聴されようが、ケーブル、あるいはインターネットであっても広告価値は変わらない。Nielsenはテレビ利用時間全体を調査しているが、視聴者を発表しているのは営利ネットワークだけで、非営利のPBSの番組の視聴者数は含まれていない。Nielsenの調査は番組視聴ではなく、番組中の広告の視聴である。Nielsenのカスタマーにはなり得ない、PBSの視聴者数を調査しても無駄なことである。

本来は「Streaming」の広告無しのプラン加入者の視聴時間もNielsenには無関係で外しても良い訳である。ローカル局の広告事業を促進することが目的のTVBはNielsenのThe Gaugeに広告無しSVODの視聴時間が含まれることで、リニア放送の広告シェアが低く見えるとして、独自の分析を加えた結果を出している。これによると、動画広告プラットフォームの視聴時間としてはリニア放送(地上波と多チャンネル)が62.6%でトップ、AVODが22.8%、広告付きSVODが14.6%である(https://bit.ly/43CDRia)。 Nielsenはこれに応えるためか、2025年Q1から四半期単位で広告プラットフォームにおけるシェアの公開を開始した。これによると、広告付きサービスでのシェアはBroadcastが28.7%、Cableが28.9%、Streamingが42.4%となっている。