MPEG-4への移行

ケーブルTV事業者のMPEG-4への移行はゆっくりながらも確実に進んでいる。最近までケーブルTV事業者は、MPEG-2からMPEG-4に移行する計画は無く、そのSTBはMPEG-2だけに対応していた。しかし、多チャンネルネットワークの番組配信にMPEG-4が使われるようになり、ケーブルTV事業者も徐々にMPEG-4への移行を始めている。

多チャンネルネットワークはケーブルTV局等の多チャンネル事業者に対して、その番組を衛星で配信を行っている。ネットワークがHD番組の配信を行い始め、MPEG-2ではトランスポンダー容量が足らなくなる問題が出る。これにより、多くの多チャンネルネットワークはHD番組をMPEG-4で配信し始めた。DVB-S2を使った配信の場合、36 MHzのトランスポンダーを使うと、MEPG-4であれば、10のHD番組が配信出来るのに対して、MPEG-2では4~5個しか配信が出来ない。Multichannel New誌によると、12の主要なコンテンツ事業者は合計で143のHDチャンネルを配信しているが、その内、72%はMPEG-4で配信されている。

多チャンネルネットワークの中でも早くMPEG-4の利用を始めたのはHBO等の有料チャンネルである。HBO等は1つのサービスで、複数のチャンネルを配信するので、他のネットワーク以上にトランスポンダーの効率的な利用が重要になる。現在、HBOはそのサービスで26のチャンネルを配信しているが、SDはMPEG-2で配信し、HDはMPEG-4で配信している。

ケーブルTV事業者は、MPEG-4で受信した番組をそのまま放送する事は出来ない。多くのSTBはまだMPEG-4には未対応である。MPEG-4で配信された番組を放送する場合、ケーブル事業者は、自動的にMEPG-4をMPEG-2にトランスコードする設備を導入しなければならない。トランスコード機能を持つ衛星受信機は、既存の製品より30%~100%高くなる。このため、中小のケーブルTV事業者ではまだ、MPEG-4を受けられない局もある。これら局の為にHBOはHDチャンネルの内の4つをMPEG-2でも配信をしている。ESPNは、4つのHDチャンネルを持っているが、MPEG-4は使わずに、MPEG-2で配信をしている。

しかし、トランスコード機能を持つ受信機の導入は増えており、ネットワークはHDチャンネルをMPEG-4だけで放送する方向に進んでいる。ESPNも新たに始めている3DチャンネルはMPEG-4のみで配信の予定である。MPEG-4への対応が進むことで、ネットワークはSDチャンネルもMPEG-4で配信する事を計画し始めている。Turner Broadcastingは23のSDチャンネルをMPEG-2で配信しているが、その内の18はMPEG-4でも配信し始めてる。2011年には、SDチャンネルもMPEG-4だけで配信するネットワークが登場すると思われる。

ケーブルTV事業者は、STBをMPEG-4対応にし始めている。Comcastはすでに1000万台をMEPG-4対応のSTBにしてる。HD対応のDVR機能を持つSTBは、ARPUが高く、MPEG-4対応の新製品にリプレースしても投資回収は早い。しかし、ベーシックなSDのSTBをMPEG-4対応の製品にリプレーする効果が無く、MPEG-2が消えるのにはかなりの時間がかかる。