ATSC 3.0後の再送信

次世代放送規格のATSC 3.0への移行は自主的に行われる。ATSC 3.0には後方互換性が無いので、移行する局は既存のテレビに対応する為にATSC 1.0での放送も引き続き行う事が義務になる。その為には、移行する局は、ATSC 1.0での放送を続ける局とのチャンネル共有の契約する必要がある。しかし、アメリカではTV世帯の85%は地上波を多チャンネルサービスの再送信で見ているので、ATSC 3.0へ移行した局の再送信をいかに行うかが問題になる。基本的には、3.0での再送信義務は無く、チャンネル共有で放送される1.0が再送信義務になるが、ルール作りはこれからである。

FCCはそのルールの為のコメントの受付を始めた。ATSC 3.0の普及を進めているNAB、CTA等の団体は、規制はATSC 3.0の「ブートストラップ」と呼ばれる基本的なサービス部分だけが対象で、追加機能は規制対象にしない事を求めている。再送信を行うケーブルTV側もそれには合意しているが、ATSC 3.0への移行をした局の再送信を行う上でのさらに細かい要求を提示している。中小規模のケーブルTVの事業者を代表するAmerican Cable Association(ACA)は4つの規則を求めている。

1つはATSC 1.0での再配信契約とATSC 3.0での再配信契約を切り離す事である。ATSC 3.0で提供されるサービスにどの様な物が含まえるかが明瞭でない現時点で、いずれかは必要になる3.0での再配信契約を現行の 1.0と同様にする事に不可能であり、3.0での再送信を行う時点で新たな契約を結ぶことを求めている。

2つ目として、ATSC 1.0で配信する放送の画質を現在の基準と同じに保ち、劣化させない事を求めている。ATSC 3.0に移行する局はその画質をアピールする為にわざとATSC 1.0でのサイマルキャストでは現在の放送より低い画質で放送する可能性があり、それを禁じる事を求めている。ACAは殆どの中小ケーブルTV事業者は地上波放送をアンテナで受信しており、チャンネル共有で放送する画質が落ちた場合、ケーブルTV局の再配信の画質も悪くなる。

3つ目にはATSC 1.0でのサイマルキャストを行う局とケーブルTV局の距離が現在より遠くなり、受信が困難になった場合の対応策を求めている。チャンネル共有契約をする局は同じ地域であるが、同じタワーからの放送とは限らなく、ATSC 1.0でのサイマルキャストを良好な状態で受信出来なくなる可能性がある。

4つ目は、サイマルキャストを現在の放送と同じレベルの画質で再配信出来なくなった場合、受信を光ファイバーにする、あるいはATSC 3.0からのダウンコンバートにする等の費用を放送局の負担にする事を求めている。

ATSC 3.0関連の話題で、3.0を推進する放送局グループのSinclairとNexstarは3月に協力し、コンソーシアムを設立している。3.0への移行後も1.0での放送を他局とのチャンネル共有で続ける必要性があり、パートナーシップは重要になる。6月にはこのコンソーシアムにUnivisionも加わった。Univisionの参加により、全米90%をカバーする放送局が参加する事になる。