12月はクリスマス・ショッピングのシーズンだが、企業も同じようで、数多くの買収があった。年末の買い物に忙しかった会社の1つはVerizonで、12月にCDN(Contents Delivery Network)事業者の大手、EdgeCast Networkを買収した。EdgeCastは急成長をしているCDN事業者で、BT、Deutsche Telecom、Telus Group等、6000以上のクライアントを持つ。買収金額は公開されていないが、3.5億ドルと推定されている。EdgeCastの競合にはAkamai、Limelight、Level 3 Communications等が含まれる。
Verizonは1ヶ月前にABCがWatch ABC、Watch Disney等の配信に採用しているUplink社も買収している。EdgeCastは、Uplinkと同様にVerizonのDigital Media Services部門に統合される。
Verizonはまた、Intelが売りに出しているそのブロードバンドベースのバーチャル・ケーブルTVサービスのOnCueを開発しているIntel Mediaの資産を買収するとも噂されている。買収後、VerizonがOnClueのサービスを提供する意思があるにかは不明だ。
Yahooはピア・ツー・ピア・ネットワークのPeerCDNを買収した。PeerCDNのサービスは現在ベータテスト中で、画像、映像等の高速な共有を可能にするサービスを開発している。Yahooはもう1社、ウェブでコンサートビデオを配信しているEvntliveも12月に買収している。Evntliveは2012年にCiscoの元CTOのJudy Estrinが設立した会社で、コンサートビデオを配信してきた。Evntliveのユニークな点は、複数のカメラアングルで配信し、利用者に選択のオプションを与える事であった。Evntliveでのウェブサイトでのサービスは中止になり、サービスはYahoo Videoに移行する。EvntliveにはVince Cerf、Yogen Dalal(ベンチャーキャピタリスト)、Dave House(元Intel)等が230万ドルを投資していた。Yahooは、2013年4月にフランスのDailymotionを買収しようとしたが、フランス政府がこれを阻止した。そのDailymotionは12月にHTML5の開発で知られるJillion社を買収している。
通信関係の買収では、もう1つ、AT&Tがコネチカット州の固定電話ネットワークをFrontier Communicationsに20億ドルで売る。売るのはすべての固定ネットワーク資産で、FrontierはAT&Tコネチカットの社員2,700人を引き継ぐ事になる。コネチカットの電話事業はもともとAT&Tでは無くかった。コネチカットの地域電話サービスは独立系電話会社のSouthern New England Telecommunicationが行っており、SBCが1998年に同社を買収している。FrontierによるAT&Tコネチカットの買収には司法省とFCCの許可が必要になる。
通信、放送事業者の買収にはFCCの許可が必要になる事が多い。FCCは12月にテレビ放送局を持つGannett社が、競合のBeloを買収する事を許可した。買収額は約15億ドルで、これによりGannett社が持つ放送局数は23局から43局に増える。しかし、FCCによる買収許可の条件として、Beloがセントルイス市に持つCBS加盟局のKMOV-TVを売らなければならない。GannetはセントルイスですでにNBC加盟局のKSDK-TVを持っており、2つの大手局を同じ地域で持つ事は許されない。
予定されている放送帯域の競売と再編成を前にして、放送局の買収は2014年も続いていくであろう。しかし、放送局保有会社の買収相手は他の放送局とは限らない。デジタルメディアへの移行の中、放送局会社は新しい市場への参入も進めている。新聞社であり、全米で20局以上の地上波局(多くは、ABC、あるいはNBC加盟)を持つE.W. Scrippsはデジタル・ニュース事業者のNewsyを3500万ドルで買収した。Newsyは5年前に設立された会社で、ニュースビデオのキュレーションを行っている。E.W. Scrippsは、オンラインでのニュースサービスを設立しようとしており、その為にNewsyを使う。
出版社のNews Corp(2013年にFoxとNewsは分離している)はそのデジタルビジネスの強化にアイルランドのStoryfulを1800万ユーロ($2500万)で買収した。Storyfulは「ソーシャル時代の通信社」で、News、他の会社はStoryfulを使い、話題になりそうなビデオ、ニュース等を探している。News Corpは2005年にMySpaceを$5.8億で買収している。
ソーシャル関係では、利用者が見ているテレビチャンネルを聞き、指定されたチャンネルを見る度にポイントを提供するアプリを提供しているViggleは、エンターテイメントポータルのWetpaint社を3000万ドルで買収した。Wetpaintは8年前にWiki向けのネットワークとして設立されたが、現在は娯楽情報のポータルを提供している。Viggleはそのサービスを拡大する事を狙っており、今年の初めにGetGlueとの合併を発表したが、すぐに中止になった。
E.W. Scrippsが2008年にスピンオフしたテレビネットワーク会社のScripps Networkは、Discovery Communications社の買収対象になっている。Discovery Channel、TLC等の多チャンネルサービス向けネットワークを持つDiscovery Communicationsは、その規模を広げつるためにドバイの料理専門チャンネル、Takhayal Entertainment、スカンジナビアのコンテンツ事業者、SBS Nordic等を今年の初めに買収している。Scripps Networkはハウツー物のHome & Garden Television、Food Network、DIY – Do It Yourself Network等を持ち、Discoveryとのシナジーは高い。
やはり新聞社で、テレビネットワークも持つTribune社はSonyからGracenoteを1.7億ドルで買う。Tribune社はテレビ番組のメタデータを提供する事業をそのTMS(Tribune Media Services)部門で行っており、GracenoteはTMSに吸収される。Gracenoteは音楽のメタデータを提供する会社とスタートし、2008年にSonyが2.6億ドルで買収している。Gracenoteはビデオ分野のメタデータにも進出をしていたが、SonyはGracenoteとのシナジーを見つける事が出来なかった。
放送局の買収が増える中、テレビ放送局業界の団体であるNational Association of Broadcasters(NAB)自体も12月に展示会のContent and Communications World(CCW)とSatellite Communications Conference and Expo(SATCON)をJD Events社から買収した。CCWはコンテンツ制作、管理、配信分野の展示会で、SATCONは衛星通信分野の展示会である。2013年はCCWとSATCONは同時に11月にニューヨークで開催されており、約7,000人の参加者があった。参加者は、前年から20%増えている。
