Canoe: アップデート

合計で5300万以上の加入世帯を持つ、ケーブルTV事業者大手6社のComcast、Time Warner Cable、Cox、Charter、Cablevision、Bright Houseが共同で設立したケーブルTV向け広告サービスを提供するCanoe LLCがCTAM(Cable Telecommunications Association for Marketing)のSummit ‘08において初めての公開プレゼンテーションを行った。2008年4月に設立されたCanoeに関する情報は報道記事が主で、これまでCanoe自体からの情報は少なかった。(社名のCanoe自体、内部コードネームであったのが、報道記事で有名になり、そのまま正式な社名にされている。)

Canoeが提供する製品はアドレサビリティー(受信者特定)、対話型の広告、それにデータである。CanoeはケーブルTVの次世代広告のプラットフォームを提供する会社であり、広告自体の販売は行わない。Canoeの目指すのはウェブにあるターゲット広告、リアルタイムの測定をTV環境にもたらすことである。視聴者データがベースであり、Canoeの重要な要素になる。

有効なデータを提供するには多数のサンプル数が不可欠であり、Canoeはそのクリティカルマスは1000世帯としている。Canoeは18~24ヶ月で1000万世帯のSTBがCanoeのプラットフォームに対応するようになると予想している。

Canoeの最初のプロジェクトは11月の選挙時に行った選挙演説のVOD、「Elections ‘08」で、広告関連の最初のプロジェクトは2009年の第1四半期に開始される予定。Canoeの広告プラットフォームはCAAS(Common Advanced Advertising System)と呼ばれ、CableLabsが開発したEnhanced TV Binary Interchange Format(EBIF)等に加え、様々な規格を採用していく。その一つはSCTE(Society of Cable Telecommunications Engineers)130で、同規格は広告挿入サーバーがその他の映像伝送システムと通信するかの規格を決めている。SCTE 130の規格化にはArris Group、BIAP、BlackArrow、ConcurrentComputers、Invidi Technologies、Motorola、OpenTV、Sigma Systems、Visible World等のベンダーが関わっている。CanoeはCAASで使う技術に関して60社に対して協力を求め、55社からの返答を得ている。1社の技術を採用するのではなく、ライセンス可能な標準規格を作る事が目的であり、Canoeが特定ベンダーの製品をケーブルTV事業者に売ることは無い。

ケーブルTV事業者はケーブルTVにおける広告を増やそうとしており、Canoeの他にComcast、Time Warner Cable、Coxの3社はNCCと呼ばれる広告販売の組織を作っている。最近、NCCは10億ドルの売上げを達成した事を発表している。

TV広告の市場は600億ドルあるが、ケーブルTV事業者に対する収入は僅かである。ケーブルTV事業者の2007年の広告収入は47億ドルで、2006年の34億ドルから8%の増加をしている。しかし、ケーブルTV事業者の売上げ全体に占める割合は2006年の6.5%から2007年は6.3%と、成長はしていない。ケーブルTV広告がアドレッサブルになることで、需要は増えるが、急増する事は無い。調査会社のPike & FischerはケーブルTVの広告は9%程度の成長と予想している。

ローカル広告に注目しているのはケーブルTV事業者だけではない。DISH NetworkはIndivi社の技術を採用し、受信者指定可能の広告を提供する事を発表した。Indiviの技術は視聴世帯の地域、デモグラフィー、他のデータを使い、その世帯にマッチした広告を送る事を可能にする。DISHのSTBは特定した広告の提供、ダイナミックな広告挿入にすでに対応しており、同社は全米で最初に受信者指定の広告を売る事が出来る多チャンネル事業者になる。

電話事業者もローカル広告に関心を示し始めている。これまで、電話事業者はそのサービス地域を拡大し、加入者を得ることに注力してきたが、最近になり、サービスを始めた地域での広告販売にも力を入れ始めた。RGB、Tandberg社等がMPEG-4向けの広告挿入プラットフォームの提供を行っている。