ケーブルTV(多チャンネルサービス)は、チャンネル数を増やすことでその魅力を維持してきた。チャンネルが増えることで、料金は値上がりするが、チャンネル数の増加はそれに見合う魅力を提供する事が出来た。しかし、100チャンネルを超す頃からこの価値案に問題が見え始めた。チャンネル数が増えることで、見るチャンネルも増えていくが、その関係は直線的ではない。100チャンネルをすぎると、チャンネルが増えても、平均視聴チャンネルは大して増えない。チャンネルが増えるほど、その内容はニッチになっていくので、これは当然の事である。
しかし、ケーブルTV(多チャンネル)事業者の料金体系は、依然としてチャンネル数がその基本になっている。地上波再送信が基本(ベーシック)で、それに主要な多チャンネルネットワークを加えたのが拡張ベーシックで、基本的なサービスなっている。チャンネル数が増えることで、拡張ベーシックのチャンネル数も増え、料金も増えている。
パッケージ方式はシンプルだが、その問題は見ないチャンネルにもお金を払っている事である。通常見ているチャンネルの殆どは基本パッケージで十分であっても、1つでも見たいチャンネルが一番高価なパッケージにしか含まれていなければ、もっとも高価なパッケージに加入をしなければならない。
見たいチャンネルだけを選べるアラカルト方式の導入を求める声は以前からあり、FCCで議論されたこともある。2007年に視聴者代表がコンテンツ事業者と多チャンネル事業者を相手に集団訴訟を起こした。多チャンネルサービスの料金体系は、コンテンツ事業者と多チャンネル事業者の癒着で、アンチトラスト法を犯しているとのが趣旨であった。法廷は、これを一度は退けたが、上訴裁判所はこれを再審議する事を最近決定した。
見たいチャンネルだけを売るより、不要なチャンネルを売りつけるパッケージ方式の方が当然、儲けは多く、多チャンネル事業者は、アラカルト方式は料金を高くするとし、この方式の導入には反対してきた。
しかし、チャンネルが増える事で、多チャンネルサービスの値段もどんどんと増え、最低の基本パッケージでも$50近くなり、最高のパッケージでは月額$100を越している。多チャンネルサービス料金が高くなる事は、コードカッティングの増加にもつながっていると思われる。Netflix、Hulu Plus等の有料OTT-Vサービスが普及し、より安い値段で番組を見ること出来るようになったことも、消費者の多チャンネルサービスに対する不満を増やしている。ブロードバンドに加入していれば、月額$8でNetflixが見られる。Netflixを見るために、何らかの基本料を払ったり、あるいは強制的に他のサービスに加入する必要は無い。
Comcastは、そのチャールストン(サウス・カロライナ)のシステムで新しい価格体系のテスト販売を開始した。価格は依然としてパッケージ方式であるが、高価なチャンネルをオプションとする事で、最低価格を下げ、柔軟性を増やしている。広告付きの多チャンネルのネットワークで最も効果なのはスポーツ専門のESPNである。ComcastがテストしているMyTV Choiceでは、ESPNと他のスポーツ系主体のチャンネルを除いた、60程度のチャンネル(地上波再送信を含む)を「Get Started」と呼ばれる基本パッケージとし、月額$25で提供している。これにESPN、ESPN2、VERSUS、BBC America等の1ダース程度のチャンネルを加えた物を「Get Started Plus」とし、月額$45にしている。このいずれかをベースに加入者はそれぞれ、$10程度のテーマ別のパッケージ、あるいはHBO等の有料チャンネルを加えることが出来る。
- Kids: ABC Family、Disney、Nickelodeon、TeenNick等
- New & Info: Bloomberg、CNN、Fox Business、MSNBC等
- Entertainment & Lifestyle: Bravo、CMT、MTV、VH1等
- Movie: Encore、Flix、IFC、Lifetime Movies等
Comcastは、このテストをいつまで続けるか、あるいは他の地域でも提供するのかは発表していない。
