インターネット・ビデオのビジネスモデルに変化が起きている。その1つの動きは、NetflixがストリーミングをDVDのレンタルから切り離した上で、値上げをした事である。これは、ストリーミング・サービスが、DVDレンタルの脇役ではなく、主役になった事を意味するが、同時に低料金のモデルが通用しない事も意味している。
Netflixは、コンテンツ調達する料金は物理媒体でも、ストリーミングでも最終的には同じ様になり、郵送が必要ではないストリーミングの方が全体的なコストは低く出来ると想定していた。しかし、ストリーミングが普及しても、コンテンツ事業者は、ビデオをストリーミングで提供する場合の料金を安くしていない。本来は、物理媒体を扱う必要がないVODの方が、DVDレンタルより安いはずだが、ケーブルTVのVODも、Amazon On Demand、Vudu等のVODも価格はDVDのレンタルより安くない。Netflixは、ストリーミングを月額数ドルの追加料金で提供可能と考えていたが、それでは採算が合わず、ストリーミングとDVDのレンタルを切り離し、共に月額8ドルとした。
Huluは、TV番組を広告付きで無料で配信するビジネスモデルでスタートした。HuluはTVネットワークのABC、NBC、Foxのジョイントベンチャーで、TV放送とのシナジーを優先に考えてた。TV放送と同じレベルの広告収入を、ストリーミングで得ることは困難だが、ある程度の収入が得られ、さらに見逃した番組へのキャッチアップを容易にする事で、TVでの視聴が増え、TV広告が増えれば、目的は達成出来るはずであった。しかし、広告収入は予想以上に低く、有料のHulu Plusを提供する事になる。しかし、Huluの有料化は、地上波放送とのシナジーを弱める事になる。さらに、悪いことにTV放送の視聴が増えるどころか、多チャンネルサービスの加入者が減少をし始め、広告主は広告媒体としてのTVに疑問を持ち始めている。
HuluのパートナーであるFoxは、Huluのコンセプトを否定する決定をした。FoxのTV番組は、無料では放送の翌日に配信されなくなった。Foxの番組を放送翌日に見るには、Hulu Plusに加入するか、あるいは多チャンネル事業者のTV Everywhereを使う必要がある。TV Everywhereは無料だが、多チャンネルサービスに加入する必要があり、本当に無料ではない。Foxのサイト、あるいはHulu等で無料で視聴出来るのは、放送から8日後となり、殆どキャッチアップの意味は無くなっている。
Netflixの値上げと同様にFoxの決定には、多くの不満が出ている。1つの問題は、TV Everywhereで見るにも、Foxと協力しているのは現時点でDishだけであり、他の事業者のTV Everywhereでは、Foxの番組は提供されていない。Foxの番組を見るためにBit Torrent等を使った非合法のファイル共有が増えているが、Foxはこれは一時的な事で、Foxの番組を扱うTV Everywhereが増える事で、大きな問題にはならないと語っている。
Foxだけでなく、DisneyもABCの番組を無料で放送翌日に配信する事を止める検討している。Disneyは、多チャンネルネットワークのESPN等の番組をすでにTV Everywhereだけで提供しているが、新たに地上波のABCの番組を同様に配信する事で多チャンネル事業者との話し合いを進めている。Foxに続き、ABCの番組も翌日配信が無くなると、無料サービスとしてのHuluは価値が大きくと減少する。Huluは現在、売りに出されており、Yahoo、Google、Amazon、Dish、DirecTV等が購入の交渉をしていると報じられている。
