iPadへのTV配信

先月号で記事にした様に、Time Warner CableはそのケーブルTVサービスで放送しているチャンネルの一部を放送と同時にiPad向けへの配信を始めている。これに対してViacom等が停止命令を出し、大きな争いになり始めている。TWCはViacomの停止命令を不服に、連邦裁判所に対してiPadへの配信はその契約範囲であることの確認判決を求めた。これを受け、ViacomはTWCがその配信契約を破り、著作権を侵したとして、訴訟を起こした。

TWCは、iPadへの配信はサービスの加入者の家庭内に限られた物であり、配信契約を犯している事は無いと反論している。TWCはすでに360,000人以上がiPadのアプリをダウンロードしており、Viacomはこれら利用者を無視していると責めている。Viacomは新たな配信技術を許可する場合、セキュリティー、品質、視聴率測定等のビジネス上の問題を加味し、検討をしているが、今回の場合はTWCはライセンス契約無しにiPadへの配信を始めており、これは権利の侵害であると語っている。

TWCは、Viacomの運営するMTV、Comedy Central等のネットワークとの配信契約は、「家庭内のディスプレイ」に対してであり、それにはTVだけでなく、iPadも含まれるとしている。Viacomは、iPadへの配信は、新たな媒体を使った新たな端末への配信であり、別途ライセンス契約が必要だと言っている。

この騒動を煽るように、Cablevision も同様に、iPadへのTV配信を開始した。TWCのサービスの場合、配信をし始めたチャンネルは一応、事前に承諾を得て(得ていたはず?)の多チャンネルネットワークだけであるのに対して、Cablevisionは地上波再送信を含めた全280チャンネルを承諾無しで、配信を始めている。Cablevisionは、リニア放送だけでなく、VODを含め、ケーブルTVで見られる番組を全てiPadでもアクセスも可能にしている。Cablevisionは、そのiPadへの配信は公共のブロードバンド回線を使った物ではなく、既存のCablevisionのケーブル網上でのIP配信で、著作権上は全く問題は無いと語っている。このサービスの利用をするには、Cablevisionの ブロードバンドサービスに別途加入することは不要で、ケーブルモデムサービスに加入していない、世帯に対しては、通常のインターネットへのアクセスは出来ないこのサービス専用ケーブルモデムとWiFiルーターを提供している。

TWCのiPadへのTV番組の配信に最初は反対をしていたFox系、それにDiscovery系のチャンネルはTWCと和解をし、配信を許可している。また、iPadへの配信を許可するネットワークも多く、TWCのiPad対応チャンネル数は73に増えている。しかし、Viacomはその姿勢を変えていない。また、Cablevisionは無許可で行っており、反対をするチャンネルも多い思われる。地域スポーツネットワークYesはすでに、Cablevisionに対して停止命令を出している。

ネットワークがiPadへ放送を行う事に反対をしている理由の1つは、視聴率の計算に含まれない事がある。Nielsenは今年の末、あるいは2012年初めには、iPadへの放送も視聴率として測定をする事を開始すると発表している。
ケーブルTV事業者がiPadを使ったTV放送の配信を行うとしている背景には、ケーブルTVが加入者を失っている事がある。TWCは第1四半期で65,000の加入者を失い、Cablevisionは8,000世帯を失っている。衛星放送、それに電話事業者のビデオサービスがある中、加入者を増加する事は困難である。ケーブルTV事業者は、ブロードバンドサービスの加入者の増加により収入を増やしている。ケーブルTV事業者に取り重要なのは、ダブルプレー、トリプルプレーの加入者であり、IPadへの配信、ケーブルTVとブロードバンドサービスのダブルプレーを受けている世帯が魅力を感じるサービスである。