AT&TのBellSouth買収とネット中立性

AT&TはFCCに対してネットワークの中立性を今後2年間守ることを約束する書面を提出し,それを条件にBellSouth買収の許可を得た。ネットワーク事業者は優先接続サービスを提供する事で,ビデオ等のネットワークに負担が大きいサービスを提供する事業者からより高い料金を得ようとしているが,Google等のサービス事業者はこれはネットワーク事業者がインターネットの中立性を侵す物だとして反対をしている。

AT&Tのインターネット中立性の約束はその有線通信に限定される。AT&TはこのコミットメントはCPEからインターネットエクスチェンジポイント間の有線ブロードバンドアクセスサービスとしており,これはラストマイルからメトロ/バックホールネットワークを対象にした物と考えられる。インターネットのコア(バックボーン)は対象外であり,また,企業向けのマネッジドIPサービス,IPTVサービス等,対象にはならないサービスも記されている。さらに特定の事業者のパケットを優先する事は出来ないが,ビデオ等の特定の種類のパケット全体を優先する事は出来る。

インターネット中立性の賛成派はAT&Tの今回の約束は,大きな一歩だとしていが,この約束の価値を疑う意見もある。AT&Tの約束は2年間である。しかし,優先接続サービスの本当の価値が出るのはラストマイルが広い地域で高速されてからの事である。AT&Tのネットワークのアップグレードが広く普及するには2年以上かかり,その時点ではこの約束の有効性は無い。また,自社のIPTVサービスを売り込むためには,インターネットビデオのトラフィックは優先しない方がメリットもある。IPTVで見られるのと同じビデオがインターネットでリアルタイムでVOD出来るのであれば,AT&TのU-Verseに加入する価値は無い。自社のビデオサービスを立ち上げる間は,優先接続は行わず,自社のIPTVサービスの優位性を強調する方がベネフィットは高いかも知れない。